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銀河英雄伝説〜悪夢編
第七話 儀式なんだ、さっさと終わらせよう
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いけば何処かでとんでもない敗北を招く。戦死者は何十万、いや百万以上になるだろう。そんな事は許されない筈だ。俺自身とても耐えられない。グリンメルスハウゼンは軍事から身を引くべきなんだ……。



宇宙暦795年 2月 24日  ハイネセン  統合作戦本部  アレックス・キャゼルヌ



「やれやれ、帝国軍がまた出兵してくるか。連中、最近やたらと張り切っているな」
「ヴァンフリート、イゼルローン、勝ち戦が続いていますからね、勢いが有りますよ」
統合作戦本部に有るラウンジで俺はコーヒーを、ヤンは紅茶を飲んでいた。

「敵は一個艦隊、二万隻か。ちょっと中途半端の様な気がするな」
「そうですね、確かに中途半端だと思います」
「しかし無視は出来ない……」
「ええ、相手が相手です。無視は出来ません」

ヤンが憂欝そうな表情で紅茶を飲んでいる。リヒャルト・フォン・グリンメルスハウゼン上級大将か……。
「どういう人物なんだ、良く分からんのだが」
俺が問いかけるとヤンは首を傾げた。
「グリンメルスハウゼン提督ですか? さあ、私も良く分かりません。皇帝の信頼厚い人物のようですが……」
「いや、そうじゃなくて用兵家としてだ、有能なのかな」

ヤンが困ったような表情を見せた。
「武勲は上げていますね、それもかなりのものです」
「老人だと聞いたが……」
「ええ」
「年をとってから急に武勲を上げ出すとか有るのかな? これまでは殆ど名前を聞いた事が無かっただろう」
ヤンが曖昧な表情で頷く。

どうも良く分からない。ヴァンフリート、イゼルローン、どちらもグリンメルスハウゼン提督の率いる艦隊の働きによって同盟軍は敗れた。鮮やか過ぎるという評価も同盟軍からは出ている。戦果から判断すれば宇宙艦隊司令長官、ミュッケンベルガー元帥よりも厄介な相手だろう。シトレ本部長も首を傾げている。

「まぐれとは思えません。参謀に出来る人物が居るのかもしれませんね」
「本人は飾りか」
「ええ、だとすると辻褄は合います」
「しかし今度勝てば元帥だろう、飾り物の元帥か?」
ヤンが“うーん”と呻き声を上げた。

「あるいは帝国軍は勝とうとはしていないのかもしれませんよ」
「勝とうとしていない?」
「ええ、だから遠征軍は二万隻などという中途半端な兵力なのかもしれない」
「……良く分からんな、帝国軍は負けるために出てきたという事か?」
俺が問いかけるとヤンが頷いた。

「中途半端に二万隻という兵力を与えて送り出した。同盟軍が大軍で迎い撃てば遠征軍は敗北するか戦う事無く撤退する……」
「何の意味が有るんだ?」
「さあ、分かりません。ですがどう見ても勝とうとしているようには見えないんですが……」
頭を掻いている、自信が無い時、思うように
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