第七話 儀式なんだ、さっさと終わらせよう
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ーン、ビューロー、クナップシュタイン、グリルパルツァー。これだって悪くない。クナップシュタイン、グリルパルツァーは今の時点では有能な士官だ。若手ではなかなかの有望株が揃ったと思う。
人事発令から艦隊編成、そして訓練、これらを一カ月半で終わらせた。本当に忙しかった。何故そこまで急いだか? おそらくこの遠征に参加する将兵の殆どが疑問に思っているだろう。この艦隊は戦わない、それを知れば更に疑問は深まったに違いない。
この艦隊が遠征から戻った後、帝国は再度遠征を行う。新たな遠征軍の総司令官はミュッケンベルガー元帥だ。帝国は今有利に戦争を進めている。同盟軍の敗戦の傷が癒える前にたたみ掛けたいのだ。だからグリンメルスハウゼンの遠征は出来るだけ早く終わらせたい、その事が準備を急がせている。
そしてこの遠征軍は遠征終了後に解体されミュッケンベルガーの遠征軍に組み込まれる事になっている。だから訓練が必要なのだ。分艦隊司令官はミュッケンベルガーの直率艦隊に組み込まれ参謀は宇宙艦隊司令部に編入される。それなりの人材を集めたのはその為でもある。
ついでに言えば本来なら参謀は作戦、情報、後方支援の分担を決めるのだが今回は無い。宇宙艦隊司令部では作戦参謀だけで十分だと言っているからだ。だから作戦能力の高い人間だけを集めた。情報、後方支援は協力してやってもらおう。もっともそれほど難しくも無いだろう、戦わずに退くのだ。
「それにしても前代未聞の珍事だな、これは」
クレメンツ准将の声は笑みを含んでいる。俺を見る目は悪戯小僧め、そんな感じだ。多分この人にとって俺は士官学校の候補生時代から変わっているようには見えないんだろう。悪戯したのは俺じゃなくフェルナーだけどな。
宇宙艦隊司令部入りはこの人にとっての夢だったようだ。その夢が叶う。忙しいが遣り甲斐のある仕事でもあっただろう。この人と仲の悪かったシュターデンは今回の人事で昇進することなく辺境警備に回された。ミュッケンベルガーをかなり怒らせたらしい。もっとも軍内部では俺との出世競争で負けたのだという噂が有るそうだ。俺はそんなものには興味無いぞ。
分艦隊司令官も参謀達もこの艦隊が戦わずに退く事を知っている。ミュッケンベルガーの遠征軍に組み込まれる事もだ。皆呆れていたな。でもなあ、他に手が無かったんだ。俺が提案したら爺様連中は飛びついたよ。エーレンベルクは“神算鬼謀だ”なんて叫んでた。
まあ確かに原作のアスターテ会戦を利用して撤退ってのはちょっと小細工が過ぎるかとも思うが今の同盟なら確実に勝利を求めて来るはずだ。大軍を出してこちらを叩こうとするから撤退はし易い。何処からも不信は抱かれ無い筈だ。
知らないのはグリンメルスハウゼンだけだ、それに関してはちょっと胸が痛む。でもこれ以上は無理だ、このまま
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