第六話 そんな事を言ってるんじゃねえよ!
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になってからならともかく現時点では大将であろう、上級大将に昇進させるのが至当だ」
馬鹿野郎、そんな事を言ってるんじゃねえよ!
「何が至当かなんてどうでもいいんです。あの老人に領地を与えて軍から遠ざけろと言っています。このまま軍に置いておけばとんでもない事になりますよ」
「……」
黙り込んでどうする! 段々腹が立ってきた。
「戦争で負ければ何十万、何百万という人間が死にます。グリンメルスハウゼン提督の存在がそれを引き起こしかねないと言っているんです。それでも恩賞には昇進が至当だと言うのですか!」
ジジイども四人が顔を見合わせた。
「そう怒るな、一応あの老人に領地を与える事を非公式に打診はしたのだ。だが要らぬとの事での……、無理に与えても返上しかねぬ。それでは意味が無かろう」
リヒテンラーデ侯が不機嫌そうに答えた。
「昇進が至当と言うのもその時にグリンメルスハウゼン提督が言ったものだ。正論ではあるな、無理押しは出来ん」
シュタインホフが後に続いた。皆がウンザリした様な表情をしている。ウンザリなのは俺の方だ、つまりあの老人を軍から引き離す事は出来ないってことだ。じゃあ俺を呼んだのは何故だ? 御守りを続けさせようってのか?
「小官の異動はどうなりますか」
おいおい、帝国軍三長官が顔を見合わせてどうすんだよ。押し付け合いか?
「後任者が決まらん、何人かに当たってみたのだが皆辞退した。無理に押し付ければ軍を辞めるだろう」
エーレンベルクが伏し目がちにボソボソ答えた。他の連中も俺と視線を合わせようとしない。
「小官はもう無理です。それは副参謀長のミュラー准将も同様です。一年も務めたのです、異動は当然でしょう」
俺は引き受けんぞ、断固断る。この問題で妥協は無い、このまま済し崩しにズルズルなんて断じて御免だ。
部屋に気不味い空気が充満した。
「負ければ良いではないか? その責めを取らせて退役させる。それしか有るまい」
おいおい、とんでもない事を言いだしたな。正気か、リヒテンラーデ侯。
「簡単に言わないで頂きたい。グリンメルスハウゼン提督一人に責めを負わせて済む問題ではありませんぞ」
エーレンベルクが反駁した。
「その通りです、敗北が小さければ叱責が精々でしょう。退役させる程の敗北ともなればミュッケンベルガー元帥にも責めは及びます」
今度はシュタインホフだ。仲が悪い筈だけどな、政治家達の理不尽には協力できるか……。
でもまあミュッケンベルガーに責めが及ぶと言っても叱責が精々だろう。軍からはグリンメルスハウゼンは重荷だとフリードリヒ四世に言ってあるのだ、重い咎めは出来ない筈だ。むしろ彼らが反発しているのは負けるという事だろうな。それを文官が事も無げに言う、その事が不快なのに違いない。
俺も
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