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銀河英雄伝説〜悪夢編
第四話 芸を仕込むのも容易じゃない
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ミサイル攻撃で要塞を破壊しようとしている。これが反乱軍の作戦か!

「全艦隊に命令、前進し前方のミサイル艇の側面を攻撃、撃破せよ」
艦橋が反乱軍の攻撃にどよめく中、グリンメルスハウゼン提督が命令を出した! 皆が驚いて提督を見ている。
「はっ、全艦隊に命令、前進し前方のミサイル艇の側面を攻撃、撃破せよ!」
エーリッヒが復唱するとオペレーターが慌てて命令を艦隊に伝えた。さっき話していたのはこれか……。

グリンメルスハウゼン艦隊が前進しさらに要塞を攻撃しようとするミサイル艇の側面を攻撃する。兵力的にこちらが圧倒的だ、そしてミサイル艇は防御力が弱い、側面を突かれたミサイル艇がたちまち爆発した。艇内のミサイルが誘爆したせいだろう、眩しい程の閃光を発して爆発していく。あっという間に反乱軍のミサイル艇部隊は壊滅状態になった。

「艦隊を天底方向に移動し反乱軍を攻撃せよ」
またグリンメルスハウゼン提督が命令を出した。皆が困惑したようにエーリッヒを見ている。命令に従うべきかどうかエーリッヒに確認しようということだろう。
「はっ、艦隊を天底方向に移動し反乱軍を攻撃せよ!」

エーリッヒが復唱するとオペレーター達が驚きつつ命令に従った。艦隊が天底方向に移動すると上方にある反乱軍に攻撃を開始した。攻撃を受けた反乱軍は混乱している。なるほど、そうか、こちらを攻撃するには艦隊を回頭するか陣形を広げなければならない、だがそれを行えばトール・ハンマーの射程内だ。

反乱軍は現状のままで、トール・ハンマーの死角の範囲の中で対応しなければならない。反乱軍の兵力は三万隻だが極端に細長い紡錘陣形を取っている、そのためグリンメルスハウゼン艦隊の攻撃に対応できるのは先頭の部隊だけだ。こちらが圧倒的に有利な形で攻撃している。いや先頭部分を叩き潰している。戦況は一方的だ。

スクリーンに映る戦況に皆が感嘆している。そして皆が不思議そうな表情でグリンメルスハウゼン提督を見ている。エーリッヒが作戦を教えたとは思わないらしい。まあそうだな、教えたとしたら反乱軍の作戦を見破っていたことになる。そんな事は普通有り得ない。ヴァンフリート以来、こいつには驚かされてばかりだ。

「エーリッヒ、お見事」
小声で話しかけるとエーリッヒは溜息を吐いた。
「なんとか提督に満足してもらわないと……」
グリンメルスハウゼン提督に視線を向けた。ごく平静な表情でスクリーンを見ている。分かっているかな、この艦隊の働きで帝国軍が有利な状況にあると……。

「これからどうなる、味方次第と言っていたが」
「駐留艦隊と元帥の直率部隊があの敵を叩こうと動けばトール・ハンマーは使えなくなる。そうなれば向こうも予備を出してくるだろう、混戦になるな、戦局の収拾は難しいだろう」
「混戦か、面白くないな」
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