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銀河英雄伝説〜悪夢編
第三話 俺達は同志だ
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「……いや、そうではない、卿の言う通りだ」
「小官の思い違いではないのですね」
「うむ」

二人が見詰め合っている。功績を立てさせて満足させて退役させる……。つまりこの時点でグリンメルスハウゼン提督に対する扱いについて合意が出来たって事? 上手いもんだわ、何時の間にか元帥と少将は同志になってる。この場面だけ見ればヴァレンシュタイン少将は確かに元帥の信頼厚いお気に入りよ。

「しかし上手く行くかな?」
「もちろん、功を上げても提督が次の出兵を望む可能性は有ると思います」
少将の答えにミュッケンベルガー元帥が顔を顰めた。

「そうだな。いや、それも有るが肝心なのは武勲を上げる事が出来るかどうかだ。それなしでは話が進まぬ……」
「分かっております、尽力に努めたいと思っております」
ヴァレンシュタイン少将が神妙に答えるとミュッケンベルガー元帥が溜息を吐いた。

「卿の才覚に期待するしかないか……、あの老人を補佐するのは大変だろうが宜しく頼む」
「はっ」
確かに大変よね。傍で見ていて本当にそう思う。性格はかなり悪いけどそうじゃなきゃグリンメルスハウゼン艦隊の参謀長は無理よ。時々少将が可哀想に思えるときも有る、時々よ。

「後程私の方からグリンメルスハウゼン提督に連絡を入れる。今回の件、改めて礼を言う事にしよう」
「有難うございます」
「全く、敵よりも味方の方が厄介とは……、皮肉な事だな」
元帥が自嘲気味に呟き少将が頷いた。

同感よ。グリンメルスハウゼン提督だけじゃない、オフレッサー上級大将、シュターデン少将だって敵と戦う事よりも味方を陥れる事を考えている。何だってこんなに面倒な味方ばかりいるのか……。こんなので本当に勝てるのかしら……。思わず溜息が出そうになって慌てて堪えた……。



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