第三話 俺達は同志だ
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イゼルローン要塞に戻ったらミュッケンベルガー元帥に相談してみようと思っている」
「元帥に?」
ミュラーが訝しそうな表情をした。今のところ元帥とは全然友好的ではないからな、訝しく思うのも無理はない。
「勝手な事をするな、余計な事をするなと掣肘されては何も出来なくなる。こちらの真意を伝えておかなければ」
「なるほど」
「受け入れられるかどうかは分からないが少なくとも我々があの老人を担いで好き勝手をしているという誤解を受ける事は避けられるだろう」
「それも有るか……、確かにそうだな」
渋い表情だな、ミュラー。だがこのままいけば何時かはそういう非難が出るだろう。今の内に身の潔白を表明しておかないと危なくなる。幸い戻ったらミュッケンベルガー元帥に報告するとオフレッサー、シュターデンに言ってある。半分以上は連中に対する脅しだったが利用できるだろう。
ミュラーが艦橋に戻った後、俺は一人参謀長室に残った。確かにミュラーの言う通りだ、難しいだろう。しかし要塞攻防戦が原作通りに行くのであれば向こうの手の内は読めている。そしてラインハルトが居ない以上、放置すれば同盟軍の作戦は成功しかねない。そこをグリンメルスハウゼン艦隊が防ぐ!
ラインハルトの艦隊は三千隻に満たなかった。それに対してグリンメルスハウゼン艦隊は一万三千隻の兵力を持つ。こちらが同盟軍を混乱させればミュッケンベルガーは必ず塵下の艦隊を出撃させるはずだ。勝利を得るのは難しくない。後はグリンメルスハウゼンに攻撃手順を教え込むだけだ。不可能ではないと思うんだが……。出来の悪い俳優を使う映画監督みたいだな、頭が痛いよ……。
帝国暦 485年 10月 17日 オストファーレン ヴァレリー・リン・フィッツシモンズ
『そちらからの報告書は読ませてもらった、シュターデンからも事情は聞いている。どうやらグリンメルスハウゼン提督の手を煩わせてしまったようだ、礼を言わねばならぬ』
「いやいや大した事はしておりませぬ。それよりも総司令官閣下の御役に立てた事、これ以上の喜びは有りませぬ」
『そうか……』
スクリーンに映っているミュッケンベルガー元帥は帝国軍総司令官の威厳に満ちている。でも残念な事はどことなく表情が硬い。そしてグリンメルスハウゼン提督、彼はどう見ても公園のベンチで日向ぼっこが似合いそうな老人にしか見えない。ここまで両極端な取り合わせも珍しいだろう。
「自由裁量権を頂きながらこれまで無為に過ごした事、心苦しく思っておりました」
『無用な事だ、ヴァレンシュタイン少将の報告では反乱軍の艦隊を小勢とはいえ三個艦隊も撃破したとのこと、十分過ぎるほどの働きであろう』
「おお、恐れ入りまする」
感無量、そんな感じね。
『いずれ反乱軍がイゼルローン要塞に
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