第二話 余計なことはするんじゃない
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裁量権を得た艦隊の士官に対して押し付けがましく指示に従うように強要してきた等と言いたくなるようなことが無いようにお願いしますよ」
『……』
オフレッサーとシュターデンの顔が引き攣った。つまり頭を下げて頼んだと説明しろという事だ。それ以外は認めないと言っている。当然だがミュッケンベルガーはグリンメルスハウゼンに感謝する事になるだろう。屈辱以外の何物でもないはずだ。
「元帥閣下は総司令官の権威を冒すような行為をした人間を不愉快に思われるはずです。お分かりですね」
『……』
駄目押しだな、ぐうの音も出ない。
これで二人に残っているのはミュッケンベルガーの権威を踏み躙るような行為をしたとして叱責されるか、ミュッケンベルガーのためを思って余計な事をしたとして叱責されるかだ。どちらを選ぶかは彼らの自由だが大体想像はつく。
通信はこちらから切った。本来なら上級者である向こうから切るのが礼儀だが何も言って来なかった。二人にはミュッケンベルガーからの厳しい叱責が待っている。おそらくはその事で頭が一杯だったのだろう。今頃二人の間で責任の擦り合いでもしているかもしれない。
「参謀長に助けられましたな、礼を言います」
「余り気にされることは有りませんよ」
危うい所だった、この男がいなければ俺は死地に追いやられていただろう。俺の謝意に対してヴァレンシュタインは柔らかく笑っている。そうしていると穏やかな若者にしか見えない。
「しかし大丈夫ですか、あの連中を止める手段が有りますかな。探すのも容易ではないと思いますが……」
探し続ければ反乱軍との遭遇も頻繁になる。場合によっては奥深く入り込まないとならないだろう。艦隊戦に自信のないこの艦隊には危険が大きいはずだ。
「策は有ります。ただリューネブルク少将の協力が必要です」
「それは当然の事ですが、一体何を?」
ヴァレンシュタインがにっこりと笑みを浮かべた。いかん、どうやら碌でもないことのようだ、寒気がしてきた……。
帝国暦 485年 10月 15日 オストファーレン ナイトハルト・ミュラー
グリンメルスハウゼン艦隊は三千隻程の反乱軍と遭遇、これを撃破しつつある。艦隊戦に自信がないとはいえ、戦力にこれだけの差が有れば勝つのは難しいことではない。艦橋の中央にリューネブルク少将が立った。そろそろあれが始まるか……。
「自由惑星同盟軍の兵士諸君。小官はヘルマン・フォン・リューネブルク帝国軍少将、かつてはローゼンリッター第十一代連隊長を務めた男だ。これから話すことをローゼンリッター第十三代連隊長、ワルター・フォン・シェーンコップ大佐に伝えてもらいたい」
反乱軍は驚いているだろうな。いや、ある程度は予測しているか。これで三度目だからな。
「悪いことは言
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