第九十三話
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未熟な魔術師なぞどうして生きていられよう。いや、熟練の魔術師すら生き残れない戦争なのだ。
「あなたも、魔術師の妻なら分かるでしょう?何に呼び出されても信用してはダメ。絶対に家から出てはダメよ」
「あなたは…」
何かを言いかけた彼女はしかしその言葉を飲み込むと、まだどうにかコトネの捜索に向かおうとする小さな私を引きずって公園を出て行った。
まぁ、これが精一杯ね。お母様がなぜあんな事になったのかは私には分からない。何故、来るなと言われていた冬木に単身で出向いたのか。
今の忠告で思いとどまってくれれば、もしかしたら…
「っ…う…ぁ…」
「凛」
チャンピオンが私を呼ぶ。どうやら雁夜おじさんが気付いたようだ。
霞む眼でどうにか辺りを確認する雁夜おじさん。
「葵…さん?」
彼は私を見て誰かと勘違いしているようだった。
「っ……君はっ」
しかし、一瞬で見間違いと判断した彼は咄嗟に身構えるが、魔力が枯渇していて身構える事すら出来ずに崩れ落ちる。
「ぐあっ……」
「落ち着きなさい。私達はあなたに危害を加えるつもりは無いわ」
「……あの子を…凛ちゃんをどうした…」
「あなたは気絶していたから分からないかもしれないけれど、母親が見つけて引き取って行ったわよ」
「…本当に?証拠は?」
「そんな物は有りはしないわ。信じてもらう他無いわね。けれど、私があの子を助けたのは偶然で、あの子を害したとしても私に何のメリットも無いじゃない」
「だが、そいつはサーヴァントだろう。君は聖杯戦争の参加者だ。だったら…」
だったらなんだと言うのか。さっきの魔術師見習いが遠坂の子だと知っているはずだとでも?
「残念ながら、私はマスターでも聖杯戦争の参加者でも無い。この子は私のボディーガード。突然襲われてきたから私を守ってくれただけよ」
「そんな馬鹿な事が有るわけ…」
「聖杯戦争のルールは知ってる。けれど、だったら何であなたは生きているのかしら?気絶したマスターを前に手を出さないマスターがいる?」
「それは…そうだけれど…」
ようやく彼も落ち着きを取り戻してきたようだ。
「私はあなたに今の所敵対するものじゃないわ」
「じゃあ何が目的なんだ」
「そうね…それは私自身も今の所あやふやで、何をどうしたいのか分からないわ…」
私の言葉をどう解釈していいのか分からない雁夜おじさん。
まぁ、確かに我ながら意味不明だったわ。
「私の事はいいの。少しあなたに聞きたい事が有るのだけれど、いいかしら?」
「聞きたい事?」
なんだ?と聞き入れる体勢を作った雁夜おじさん。
「そんな体になってまで聖杯に叶えてもらいたい願いって
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