第三十八話 紅に染まる雪
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戦線は現状維持が続き、お互いに膠着状態と言っても良かった。しかし、それでも被害がなくなるわけではない。デストロイというロゴスの士気を底上げしている残った四機の砲撃によって、ザフトと反ロゴスの連合軍はまともに前線を維持できないでいた。
数の上では勝っていようとも勝敗は戦略と士気が明暗を分ける。そう言わんばかりのロゴスの猛攻。事実、態勢を狂わされたザフトと連合はミネルバとラー・カイラムの部隊がデストロイを抑え込まなければそのまま崩れ去っていたことだろう。そして、混乱している前線部隊の中で、クラウは指揮系統をまとめ上げていた。
「艦隊は支援射撃をしながら一旦下がるんだ!MS隊はデストロイの射線軸から離れて―――部隊の指揮は俺が取る!ルドルフ、アレック―――部隊を三つに!俺は海中部隊を中心に、ルドルフはグフやディン、ウィンダムといった機動力の高い部隊を、アレックは射撃部隊を中心に指揮を分ける!」
『フフン、良いだろう!この僕の華麗にも美しい指揮というものを見せてやる』
『華麗と美しいは大して意味が違わんぞ……ともかく、指示は了解した。バビ隊!後退する艦隊を援護しろ!ザク部隊は後退するMSやバビを援護するのだ!敵を近づけさせるな!』
アレックはデストロイに対して射撃が有効でないと判断し、艦隊の護衛に付かせる。その足の遅いMS隊を援護させるように指示しながら自身も射撃で敵部隊を牽制していく。
『さあ、美しさというものを見せつけてやろうではないか!さあ、私と共について来い!』
ルドルフはギャンを中心に敵部隊のMSに突撃を仕掛ける。一見すると何も考えていないただの突撃のように見えるが、彼の行動は理に適っている。足の遅いMSや艦隊ではデストロイや大型MAの餌食になるだけだが、機動力の高いMS部隊なら戦線を流動的ながらも維持することは可能だ。
そしてやはり金色のギャンは戦場では目出ち、味方には象徴のようにこちらの士気を上げ、敵には狙いを集中させる効果がある。並のパイロットならばあっさりと囲まれて叩き潰されるところだが、予想外に卓越した技量を持つルドルフは敵部隊を真っ向から相手にしても問題なく対応した。
「ゾノ、グーン隊は艦への攻撃をさせないように注意するんだ!MSの数では勝っている。囲い込んで倒せ!」
クラウはリゲルグを駆りつつ、おおよその行動を指示する。どちらにしても海中の状況はリアルタイムで把握など出来ず、大まかな対応にならざる得ない。フォローもするし、状況が分かり次第指示も下すが、基本的にはセオリー通り戦線維持するように動かす。
海上の艦隊は距離を取り、空中は流動的に戦線を維持し、制空権はこちらが取り押さえる。そして海中では艦隊が被害を受けないように戦線を維持させる。そう指示をした後はクラウは海上の敵MS隊を落としにか
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