第三十八話 紅に染まる雪
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ないが、とにかくこの状況を利用すべく、軌道ルートを変更してデストロイに接近する。
「こいつでッ!」
ビームブーメランを二対投げつけ、デストロイのパイロットの判断を鈍らせる。そのままアロンダイトを構え、切り裂き、止めを刺すかと思いきや、上昇した。デストロイが迎撃のビームを自機に当たるのもお構いなしに撃ち出したからだ。
上昇したデスティニーは大上段でアロンダイトをもって斬りかかる。しかし、アロンダイトを直前で手放し、光の翼を展開させ、幻影をまるで頭部から斬りかかる残像のように映し出す。
「目の良さが命取りだぜッ!!」
そして、ハイネ自身のデスティニーは機動する方向を一気に変え、懐に潜り込み、今度こそとばかりに右腕を突き出してパルマフィオキーナでコックピットを貫いた。
「勝ったぞッ!」
ハイネもデストロイを撃墜することに成功した。ロゴスの戦力は次々に失われていき、彼らロゴスの勝利は遠ざかっていく。
◇
「馬鹿な……」
「おい、ジブリール!あれほど豪語していた貴様自慢の……あやつはどこにいった?」
デストロイが次々と撃墜されていく様子を見て、ロゴスの面々はこのままでは負けてしまうのではと焦り、この場の責任者であるジブリールにどうにかしろと文句を言おうとするが、すでに彼はいなかった。
「クッ、アズラエルのやつめ、こういう時の為に私に知らせていたという事か?」
一人猫を抱きながら逃げるジブリール。他のロゴスの面々は見捨てることを選択した。
脱出の準備を進めているとロゴスの面々が知ったら我先にと逃げ出すことは確実だろう。とはいえ準備をしているという事はおそらく全員が逃げれる分はあるには違いない。しかし、それを教えれば敗北したことによってジブリール自身の評価は下がり、逆にアズラエルの評価は上がってしまう。そう思ったジブリールはアズラエルがいる所まで自分だけ先に逃げることにした。
一対一ならばアズラエルとジブリールは対等、いや若干ながらもジブリールの方が上である。
「遅かったではないか、ジブリール。他の面々は如何した?」
「フ、わかっているだろう?他の奴等は我々にとっては邪魔な存在だ。おそらくこの戦いが終われば我々に責任を擦り付けようとするだろうからな」
こうなったらジブリールとしても言葉は選ぶ。自分がという言葉ではなく、我々という共同意識で動くしかない。
「脱出の準備はどうなっているのだね?」
「既に出来ているとも。後はどのルートを選ぶかだ。宇宙に行くも良し、海に逃げるもよしだ」
そうしてアズラエルとジブリールは既に敵が囲いつつある戦場でヘブンズベースから脱出した。
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