第一部
第四章 〜魏郡太守篇〜
三十六 〜将星、集う〜
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頼りにさせて貰う」
「ありがとうございます!」
そんな様を、愛紗も、星も、そして鈴々も。
無論、他の兵士も含めて、微笑ましく見ている。
不意に、陣の外が騒がしくなった。
「何事か?」
「はっ、見て参ります」
一人の兵が飛び出していき、すぐに戻ってきた。
「申し上げます。韓馥軍の張コウ将軍と、沮授殿がおいでになりました」
「ふむ。韓馥殿も一緒か?」
「いえ、お二人だけのようですが」
「わかった。ともかく、ここにお通しせよ」
「ははっ!」
すぐさま、慌ただしく二人が入ってきた。
久々に見る彩だが、何やら血相を変えているようだ。
その異様な様に、皆の顔に緊張が走った。
「歳三殿!」
「おお、彩殿。ご無沙汰でござるな」
「いや、こちらこそ」
そして、隣にいる少女。
ややつり上がった眼に、短めの髪。
服装も身軽さを重視したもので、活発そうな印象を受ける。
「ギョウ軍の太守さんは、アンタかい?」
「うむ。私が土方だ」
「おいら、沮授ってんだ。元皓が世話になってるみたいだな?」
「こ、こら! 嵐! 太守様に何と言う口の利き方だ」
「あ〜、おいらがいっつもこの調子だって、知ってるだろ?」
田豊が窘めても、沮授は平然としている。
確かに礼儀知らずではあるが、捌けた口調に、一切の悪意が感じられぬ。
咎め立てするよりも、まずは話を聞くとするか。
「田豊、よい。それより、火急の用件と見たが、何か?」
「あ、そうそう。彩さん、おいらが話していいか?」
「任せる。説明は、お前の方が上手だろう」
「じゃ、任された。土方さん、うちの昼行灯と面識あるんだってな?」
……随分と、己の主人に対する言葉としては、辛辣だな。
「些かだが。韓馥殿が如何した?」
「それが、おいらと彩さんが追撃をかけている間なんだけど……」
沮授は、大きく溜息をついてから、
「昼行灯の本陣に、一時黒山賊が迫ったんだ。結構な勢いだったらしいけどさ」
「…………」
「それで、あの昼行灯。よりによって、我先にと逃げだしやがったんだ」
「何だと……?」
「うわ〜、情けないのだ」
愛紗と鈴々のみならず、その場にいた皆が、呆れた様子だ。
「まぁ、異変に気付いてすぐに駆け戻ったから、総崩れにはならなかったんだけどさ。でも、昼行灯は行方知れずって訳」
「そこで、恥を忍んで参った次第、という訳だ」
屈辱よりも、韓馥に対しての怒りが抑えきれないのだろう。
彩の言葉が、震えていた。
「頼む、土方さん。あんな昼行灯でも、配下としては放っておく訳にもいかないんだ。探すのを手伝ってくれ!」
「…………」
場に、微妙な空気が漂う。
「太守様、僕からもお願いします。……でもね、嵐」
田豊は、いつ
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