第四話、未来の記憶
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「……ラウル、どうするの?」
ヘルメスと名乗った謎の男が去ったあと、これからのことを考えていた俺にフェイトが不安げに問いかけて来た。
「そうだな……さっきもあの男に言った通り、ゲームには乗ってみようと思う」
「でも、罠って可能性も…」
「…その可能性も捨てきれないが…」
言い淀むと同時に、沈黙が訪れた。どうすればいいか決めかねているとき、俺とフェイトの前に青色のモニターが現れた。それを見て、フェイトからヒッ!という悲鳴が聞こえた。なんだ、と思い俺もモニターを見ると、そこにはとてつもなくいい笑顔で俺達を見るプレシアと、その後ろで苦笑いを浮かべているリニスがいた。
「フェイト、ラウル。早く戻ってきなさい。母さんの指示も聞かずにあんな無茶した挙句、あんなゲームに勝手に参加しちゃうんだもの…相応の覚悟があったのよね?」
「あ、ははは……」
凄味を帯びるプレシアを見て思った。ーーああ、長くなりそうだーーと。
「それで…あの男は何者か、あなたは知っているのかしら?」
夜ーー、夕食の片付けの後、リビングで家族会議が開かれた。議題は、勿論朝のこと。
俺とあの男、ヘルメス・アークライドの関係性を尋ねてきたプレシアに俺は首を横に振った。
「あの男とは間違いなく出会ったのは今日が初めてだ。ただ……」
「ただ?」
顔を顰めた俺に、みんなが首を傾げた。
「アークライドという姓はどこかで聞いたことがあるんだ……けど、それが思い出せない…」
「…無理に思い出そうとしなくていいわ。ラウル、あなた顔色が悪いもの。今日はもう寝なさい」
「え…?」
ふと俯けていた顔を上げると、プレシアの心配そうな顔が写った。
どうやら相当酷いようだ。フェイトが焦ってるし、これは素直にプレシアの指示に従ったほうがいいか。
「…そうさせてもらう。なにか決まったら教えてくれ」
「わかったわ。フェイト、ラウルについていってあげなさい」
「うん。分かった」
フェイトに連れられて、俺はリビングを後にした。
「さて、本題に入りましょうか」
プレシアの言葉に、残ったリニスとアルフは頷いた。
「今日、侵入してきた男の名前はヘルメス・アークライド。少し調べてみましたが、どうやら管理局や聖王協会とはなんの関係もありませんでした。ちなみに出身世界不明、家族構成不明と、情報がとても少なく、正体を突き止めるのは困難でしょう。ラウルがなにかを知っているらしいですが、有益な情報が得られるとはあまり思えません」
リニスの報告に、プレシアを目を瞑って頷いた。
「ありがとうリニ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ