第四話、未来の記憶
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れる寸前以外のことは覚えているし、恐らく俺にその記憶がないのは気絶していたからだろうと考えられる。つまり、俺が忘れているという過去はないはずだ。
ならば、俺が思い出さなければならないのは人物か?物か?魔法か?それとも別のなにかか?
「ガッ…ぁ…くっ…そ…」
考えを進めていく度に、痛みは更に強くなっていく。いつもならここで挫折していた。けど、俺はここまでの考えが正しいのだと確信した。間違いなく、この頭痛が酷くなればなるほど、俺は正解に近づく。なら、躊躇いはしない。頭が砕けるような痛みが襲ってこようが、必ず正解に辿り着く。
「ウンディーネ…!俺、が…思い出さなければ、ならないのはっ…人かっ?」
痛みに堪えて言うと、中指に嵌った深い蒼を讃えるコアが細かく明滅した。
『私にはそれについてマスターに助言することをシステム的に禁じられています。しかし、私とてこの失った記憶はいち早く思い出してほしいもの……答えについてのヒント程度ならば、可能です』
「ならっ、はやく…そ、れを…!教えてくれ…!」
言葉を紡いで行く度に増す痛みに歯を喰いしばりそこまで言うと、ウンディーネのコアとなっている蒼い宝石が一度点滅した。
『我がマスター。貴方が思い出さなければならないことは、これから来るであろう、絶望の未来のことです』
「み、らい…?お前、な、んで…そんなこと、知って……!?」
次々浮かんでくる疑問を含めた思考すべてを漂白するように一際激しい頭痛が襲ってきて、俺は意識を手放した。
『今はお休みください我がマスター………しかし、記憶が蘇りそうになると激痛が襲うとあの方達が言っていたが…よもや、これほどまでとは……』
『今のマスターには、まだ早かったということなのでしょうか…?しかし、モタモタしている時間もないことは事実。マスターに極力苦痛を与えず、かつ迅速に記憶を呼び覚ます……』
『早くしなければ…滅びが、始まってしまう前に…!』
機械にしてはあまりにも人間のような声で、謎の少年のデバイスが呟いていたことは、誰も知らない。
いつか見たことのあるような、暗黒と虚無の白に塗りつぶされたモノクロの世界。青年の意識は、ここにあった。
力なく座り込んだ青い髪を持つ青年の目の前に積み上げられた瓦礫の山。砕け散った建物の鉄骨やコンクリート、道の端に立っていた木々、そして、そこから突き出しているのは、人間の、手。
「う…ぁ……」
見れば、青年を取り囲むように瓦礫の山が築かれてい
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