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パンデミック
第一話「悲劇の始まり」
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―――【2015年】

そのウイルスは南アメリカで初めて確認された。
きっかけは、南アメリカのとある町からの緊急通報。

「私の友人が家族を喰い殺している!!」

受話器から聞こえた焦りと恐怖の声。
その電話も、この音声を伝えた数秒後に途切れた。


この電話が、終わりの始まりだった………


感染爆発は一気に広まった。

町から町に。

町から国に。

国から国に。

国から大陸に。

大陸から隣の大陸に。


―――ウイルス確認から1ヶ月。

南アメリカ・アフリカ・ヨーロッパは壊滅。
感染隔離地帯「レッドゾーン」に指定された。
北アメリカでは、南アメリカからの感染を防ぐため、メキシコとアメリカとの
国境を完全に封鎖し、各自で自国の「グリーンゾーン」維持に努めた。
アジアでは、封鎖が不十分な箇所が数ヶ所存在する。
そこから感染者が流れ込み、一部が「レッドゾーン」に指定された。
オセアニアは島国が多く、移動手段が限られてくるため、安全地帯になるまで
にそれほどの時間はかからなかった。
今現在も、全域「グリーンゾーン」が保たれている。

―――現状では、どの国も他国を気遣う余裕がない。

しかし、このまま何もしないわけにはいかない。
今すぐに対策を行動に移さなければならない。
人類を失うわけにはいかない。
なんとしてでも………


―――【2016年】

オーストラリアで、世界感染対策会議が開かれた。
ウイルスの名称を「コープス」と公式に決定。
それと同時に、人類に最後の希望が見えた。

殺人病殲滅連合軍「エクスカリバー」が結成された。







―――【2021年】

「訓練生諸君。卒業演習に見事全員合格した。
おめでとう。これで君たちは、明日から兵士になれる。」

訓練教官・ヴェールマンの言葉を、訓練生達は静かに聞いていた。

「さて…突然ですまないが、君たちには早速明日
レッドゾーン内部の調査に参加してもらう。担当していた部隊が
壊滅してしまってな。動ける人員が不足している。」

ヴェールマンのこの言葉に、訓練生…新兵達からどよめきが起こる。

「おいおい、明日だと!?」

「本来は1ヶ月間の実地演習終えてからだろ?」

「俺たち新兵にいきなり調査……」

「別にいいんじゃねぇの?」

「………まだ死にたくない」


どよめきを鎮めるために、ヴェールマンが言葉を続ける。

「確かに、君たち新兵をいきなり調査に参加させるのは
無茶なことだろう。死人も出るかも知れない。しかし、
君たちは血ヘドを吐く訓練に耐え、卒業演習に合格した
立派な兵士だ。明日の調査での活躍を…私は心から
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