マザーズロザリオ編
episode3 音無く、闇を纏いて
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れ相応の広範囲曲弾道の呪文も持っているだろう。それをアスナ達に向けて乱射されれば一気に彼女らのHPは消し飛ぶだろうが、それには相応の詠唱時間がかかる。
当然、乱戦を十八番とするこの俺が、そんな時間を与えるはずがない。
「くっ、なっ、」「剣士隊っ、こっち、うわっ!」「く、てめぇ!」
慌てふためくメイジ隊を次々と手刀で切りつけながら戦場を駆ける。慌ててこちらに向かってきたのは、あの潜伏していた三人組の一人の闇妖精だが、構えた短剣は俺の体の数センチ横を掠めただけ。俺の羽織ったコート、《闇を纏うもの》の効果は、一定以上の暗さの場所でキャラクターポリゴンをぼやけさせ、クリティカルポイントを狙いにくくするというものだからだ。
空を切った短剣を引き戻す間も与えずに貫手でその肩口を貫いて怯ませ、身を翻す。もっと時間がかかると思っていたのか後ろからなんとか詠唱をしようとしていた火妖精の男へと突進。それだけで動揺でスペルをロストしたのでそいつは放置、横で距離を置こうとしていた小柄な土妖精の足を払う。
(行けるな……)
ひっくり返ったその土妖精が地面に付く前にまた反転、周囲を見回す。流石にボス攻略組、恐怖で詠唱が出来ないようなほどに軟弱ではないようだが、それでもかなり詠唱の速度は落ちているし、時にファンブルする者も見られる。これなら、俺一人で数分は持たせられる。
「―――ッ!!!」
駆ける。駆ける。駆ける。
軽くなった黒い体が、色とりどりの妖精達の隙間を縫うように駆ける。
無言のまま駆け抜けていく俺の貫手は、詠唱を紡ぐ火妖精を過たず貫いた。
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