暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
マザーズロザリオ編
episode2 路地裏ガッツポーズ
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ド』と名乗ればアスナなら気付きかねない。そうなればなし崩し的にキリトやリズベットと会わねばなるまいし、それは相当に面倒くさ……失敬、厄介だ。

 (……が、今はそうも言ってられないか……ええい!)

 なんとか躊躇を振り切って扉を開け、周囲を見回す。よし、アスナは居ない。そして『スリーピング・ナイツ』の面々は、しっかりとその席に残っていた。その数、六人。人の気配に振り向いたユウキの顔が、俺を見てぱっと輝く。

 「シド! 決まったよ、助けてくれる人!」

 相変わらずの弾むような声。どうやら俺に盗聴されていたなどとは夢にも思っていないらしい。うん、一生内緒にしておこう。信用ってのは失うのは簡単で得るのは大変なもんだからな。

 「ご協力、ありがとうございました。皆さん、紹介しますね。この方はシドさん、今回の辻試合の為の宣伝をしてくださったり、ユウキの武装を揃えてくださった人ですよ」
 「あーあー、そういう堅苦しいのはいいですよ、シウネーさん。俺は『行商人』だから、さ」

 自己紹介しようとこちらを見た面々を、手の平を向けて静止する。別に名乗ってもらわなくても、その姿を見るだけで俺に必要な情報は手に入るからだ。どれくらいの体格をしていて、どれくらいの大きさの武器なら使いこなせるか、という推測。

 決して、アスナにしていた自己紹介を盗聴していたせいで、もう一回自己紹介聞くのが面倒な訳じゃないぞ。

 「あのね、アスナっていう水妖精でね、すっごい細剣使うのが上手いんだ! それで、」
 「ユウキ、ちょっと落ち着きなさい。今日はどうされたのですか?」

 嬉しさが抑えられずに跳びつくように話してくるユウキをなんとか制して(このチビアバターでは体格差があるのでちょっと押さえるのがキツイのだが)、シウネーさんの声に応える。そのセリフを待っていた、その為に来たからだ。

 俺がここに来た目的。それは。

 「どうせその様子なら明日またボス戦だろう? ユウキ以外の面々も、良い装備が必要なんじゃないか、と思ってね。そんじょそこらの武器屋に売ってる吊るしのアイテムよりも、遥かな高性能を保証するぜ?」

 彼らの手助けをする為なのだから。


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