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ハイスクールD×D 千変万化の男
そして俺は…
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胸に激痛が走る。
何が起きたか分からない。
目の前には光の槍を持った少女が俺を冷たい眼差しで見つめていた。

「な…ん…っ?」

「下等種族如きが…私を振るなんて…」

グリグリと槍を捻じりながら呟く少女に戦慄し、迫り来る死の気配に僅かに身体が震えた。
身体から力が抜けて膝を着く。
息を吸おうにも何かドロリとしたモノが喉に絡んで上手く息を吸えない。
咳き込んで吐き出したのは赤黒い…血。
意識が遠のく。
少女が何か呟いているが全く何を言っているのか分からない。
視界がぐらついた。
他人事の様に死ぬのだな、と考えていた。
少女が俺を踏み付ける。
胸から血が抜けると同時に自分の体温が下がるのがわかった。
閉じかける視界に何かが映った。
それは…










意識が浮かび上がる。
目を開くと色んな人が犇いていた。
全員が無表情で、虚ろな眼差しを此方に向けていた。
老若男女関係無く、挙句人間とは言えない様な異形さえいた。
それぞれが種族も民族も性別も違っていた。
しかし、彼等には共通点があった。
それは、俺がどの様に移動しても俺を視線で追いかけるのである。
視界いっぱいの人間が此方をじっと見つめているのはかなりの恐怖である。
ふと、ある青年の前を横切る時に違和感を感じた。
見た事があるのだ、その青年を。

「確か、何だっけ…ゲームで…」

その青年の手には槍が握られていた。
真紅の鎧に手には十文字槍。
戦国一の士と呼ばれた男である。

「まさか…」

すぐさま辺りの人を観察する。
世紀末な世で覇を唱えた覇者。
火星に行き、黒き害虫の王を駆逐する為に蜂の因子を埋め込んだ青年。
不屈の心を持った白き魔王。
黄金を身に纏う騎士。
自らよりも大きい獲物を狩る狩人達。
その身に九尾を宿した忍。
様々なアニメ、マンガ、ゲームのキャラが其処にはいた。
どんな夢だよ!とツッコミながら俺は夢の終わりを感じていた。
あぁ、起きるのか。
そう思った瞬間、辺りが光に包まれた。







目が醒めると見知らぬ天井だった。
知らない天井だ。
大事な事なので二回言ってみた。
自分の部屋ではない、それに何だか胸の辺りに違和感がある。

「そう言えば刺されたっけ?」

他人事の様に呟く。
胸を摩ると傷痕も無く、しかし制服には穴が空いていた。
それが刺されたという現実を知らしめ、僅かに顔が歪む。
其処で疑問に思う。
なぜ俺は生きているのか?
流石に心臓を貫かれたら死ぬのではなかろうか?
夢だったとしても何故制服には穴が空いていたのだろうか?
そんな事を考えていたら近くに人の気配を感じた。


「あら、目が醒めた?」

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