キャリバー編
百二十八話 霜の巨人の王
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トールが現れてからの流れは、それこそ怒涛だった。
トールは自分から宝を奪った罪を購わさせてやる!と怒鳴り、スリュムはよくもたかばってくれたな!と怒り狂う。
まぁ正直、男性陣としてはスリュムにも怒る権利は有ると思えた。美人が嫁に来たら実は四十過ぎのおっさんでしたとか、そりゃ怒る。誰だって怒る。先程の発言が無ければ同情していたかもしれない。
ちなみに実はこの展開は、「スリュムの歌」と言う北欧神話のエピソードにちゃんと残っている展開だ。
本来はスリュムがミョルニルを盗んでフレイヤとの引き換えを望み、トールはフレイヤに化けてスリュムとの結婚式に臨む。
何度もぼろを出しかけながらも同行したロキの機転でそのピンチを乗り越え、最後にはミョルニルを取り戻して巨人を皆殺しにする。と言う話だ。
先程リョウが思い出したのは、これだったのである。何しろ知ったのが中学の頃だったため半分忘れていたのである。
まぁそれは良いとして、現在怒り狂ったスリュムの注意は全てトールに向いている。この期を逃す手は無かった。
「おし!キリト、行くぜ!」
「お、おぉぉおう!!」
「なにパニクってんだよ」
「え!?あ、いや、流石に驚いたんだよ、ウン」
何故か頷いて言ったキリトに、リョウは快活に笑った
「っはは!まぁ、なぁ……警告ぐらいすりゃよかったか?」
「いや、多分俺はともかく、アイツは駄目だったと思う」
キリトが示した先には、仲間たちと共にここぞとばかりに大型のソードスキルを繰り出しているクラインの姿が有った。心なしか彼の目から、光るものが吹きだしているような気がしたが、気のせいだろう。
「さて、そんじゃいっちょ、俺らも全力行きますか?」
「おう!あ、そうだ、一応俺らの奥の手も……」
「あぁ、ま、良いか。大盤振る舞いだ、サチ!」
「えっ!?」
「最大でアレ、撃てるか!!?」
キーを取った以上、此処からは大盤振る舞いだ。トールがタゲを取っている間に、全力で攻撃を与えておかねばならない。
言われたサチは一瞬驚いたようだったが、即座に真剣な顔になると、コクリと頷いた。
「やってみる!!」
「よしっ!!」
言うが早いが、詠唱を始めたサチに向けてニヤリと笑って、リョウは前線へと走り出した。
と、突入と同時に自分の右に来たレコンに、キリトが言った。
「レコン、槍は何処まで今行ける!?」
「えっ!?えっと……丁度半分くらいです!」
「十分。詠唱少し下がって準備してくれ!攻撃には参加しなくて良い。詠唱に集中して最大限速く!」
「は、はいっ!!」
言うと、レコンは即座にバックに下がっていく。
さて、残った前戦組はと言うと、次から次へと三連を超える大技ソードスキルを乱発していた。
クラインとアイリの刀が、シリカ
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