キャリバー編
百二十八話 霜の巨人の王
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だけ派手な魔法を撃ってしまうと、サチの方にタゲが向きかねないので更に派手な技で此方のヘイトを稼いだ訳だ。
しかしそうすると当然今度のヘイトはリョウに向く訳で……
「でぇい!」
「ヒョウセツさんよろ!」
「──フィリティ・ヴィント」
「うおっ!!?」
風系統 妨害系魔法 《エアリアル・バーン》
フリ押された拳がリョウに直撃する寸前で、ヒョウセツの放った魔法がリョウのすぐ脇で発動した。
圧縮された風が一気にその地点で破裂して、リョウは真横に向けてぶっ飛ばされる。しかし幸いにも、それによってリョウは攻撃を回避した。
「サンキュ!ヒョウセツ!」
「ヘイトを取るならもう少しマシな離脱法を考えてください」
呆れたように言って相手に向き直るヒョウセツに苦笑すると、次は彼女の向こうから声。
「リョウ!大丈夫!?」
姿は見えずとも誰だかは分かる。
「モーマンタイ、モーマンタイ!!」
そう言うと、リョウは再びスリュムの方に向けて走り出す。それを遠くから見てほっとしたように息を吐くと、サチは再び詠唱を始める。示し合わせていたとはいえ、流石に肝が冷える。
と、そんな危なっかしい奮戦が十分も過ぎたころ、スリュムがひと際巨大な咆哮を上げた。
「っと……此奴は……」
「パターン変わるぞ!みんな気を付けろ!!」
一本目のゲージが消失したのだ。その警告の中で、リーファがリョウとキリトに近寄り言った。
「不味いよ……!お兄ちゃん、メダリオン、もう四つしか光って無い……多分後二十分有るか無いかってところだと思う……」
「…………」
「ちっ、何ヒートアップしてんだ下の連中はぁ……」
キリトが黙りこみ、リョウが苛立ったように言った。
スリュムのゲージは三つ。十分で一ゲージだ。正直残り二十分ではギリギリ……いや、恐らくは不可能だろう。
何しろ攻撃パターンが変わる場合、殆どはより攻撃が過劣になる。それだけの勢いで攻撃される事を考えれば、更に時間がかかる事は明白だ。しかしかと言って、先程の金牛のようにソードスキルの槍攻撃でと言うのも無理が有る。別にスリュムは物理や魔法が弱点と言う訳ではないし(どちらかと言うと炎属性には弱いが、それとて焼け石に水である)、何よりHPの総量が多すぎる。13人で削っているのにこれなのだ。更に時間がかかるのは明白で……
「…………あ」
「兄貴……アレなら……」
リョウが思いついたのと同時に、キリトが言って──直後、スリュムが大きく息を吸い込んだ。
「げっ!?」
「っ!?ヤバい!!」
胸をふいごのように膨らませたそれは、一気に此方側に全員を引き寄せようとする。恐らくは広範囲攻撃の予備動作だ。凄まじい風圧で殆どのメンバー(装備がやたら重たいリョウは無事だ)が引き寄せられる。
こ
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