キャリバー編
百二十八話 霜の巨人の王
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返す。
「仕方ないの。これはもう性分見たいなものだから」
「要は、そう言う事ですよね」
そう言って、シリカはピナに頬ずりする。
そんな光景を見ながら、先頭を進むリョウとキリトは其々笑った。
キリトが剣士で有るように、リョウが戦士であるように、クラインが武士道精神旺盛な侍で有るように、要は、そう言う事だ。
さて、そんな一同は、いよいよ持って巨大な扉の前に辿りつく。
両側に巨大な狼の装飾が為されたそれは、いかにも玉座と言った様相を呈している。ALOがポイントセーブ性のゲームで無かったら、間違いなくリョウやキリト、クラインは此処でメニュー画面を開いてセーブを押しているだろう。
慎重に扉へと近づいて行き……距離が五メートル程度まで縮まった所で、扉が重々しい音を立てて左右へと開く。
一層吹きつける冷気と威圧感の中、メイジ組が全体に支援魔法を掛け直し、フレイヤさんもまた、全員のHPを大幅に増量させると言う未知のバフを掛けてくれた。
『このまま味方で居てくれると良いんだけどな……』
そんな事を思いつつ、キリトは再び扉の奥を睨む。一度全員と、続いてリョウとアイコンタクトを交わして頷き合うと、氷の床を強く蹴り、14人は部屋へと突入した。
────
内部は、縦横共に非常に広い空間だった。
青い氷の床壁に青い燭台と其処に灯る青紫色の炎。遥か上に存在する巨大なシャンデリアも、やはり青一色である。
しかしそんな中に会って、メンバーの目を特に引いたのが、左右の壁から奥に向けてうずたかく積まれた金銀財宝の山だ。金貨や装飾品は勿論、剣やら盾やら鎧、家具に至るまで、何でもありの黄金の山が、見渡すのも不可能なほど広範囲に積まれていて、金ぴかの光を放つその様相は、まさしくして王様趣味のそれである。
「総額何ユルド位になるかな……」
「カウンターがカンストすんじゃねぇの」
ショップ持ちのプレイヤーらしい事を言うリズに、リョウが呆れたような様子で返す。
別にリズに呆れているのではない。正直なところ、やたら金銀財宝ばかり有っても、金に変えないと意味がないのではあるまいかとリョウは思っている人間なのだ。
なのでこう言った光景には正直驚きより呆れの方を覚える。
と、そんな感じで一同が唖然としていると……
「……小虫が飛んでおる」
不意に、暗闇に隠れた部屋の奥から、重々しくしわがれた声が響いて来た。
「ぶんぶんわずらわしい翅音が聞こえて来るぞ……どれ、悪さをする前に、一つ潰してくれようか……」
ズシン……と、重々しく床が揺れた。
下の氷が割れてしまうのではあるまいか、そう心配になってしまう程のそれが、何度か鳴り響くと……そこに、一体の影が姿を現す。
「……おっ、きぃ……」
後ろでアイリが唖然と
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