暁 〜小説投稿サイト〜
とある碧空の暴風族(ストームライダー)
常盤台中学襲撃事件
Trick40_正真正銘の傑作だ
[9/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
今より速度を上げて通り過ぎることも不可能。





佐天が車に轢かれる直前に、信乃と位置外が目にしたのは

“人”の動きすら超えた(トリック)だった。




佐天はまだ、ギリギリではあるが横断歩道に入っていなかった。

左から来る車に対し、鋭利な曲がり(ターン)で自身を左に。
完全な直角で曲がる。

トップスピードのまま、横断歩道に入る前に車に当たるコースから外れる。

右肩に車のサイドミラーが掠った。それほどのギリギリの回避。

そして次の一歩、1メートルを進まないうちに、今度は右にターン。
車が横断歩道を通り過ぎると同時に横断歩道に突入した。

真上から見れば、まるで稲妻のジグザグの動き。



 Trick - Avoiding Thorn -



1秒でも、1刹那でも早く速く届けたい佐天がとっさに出したのは完璧な(トリック)

アクシデントのリカバリーで上級クラスの大技をキメた。
誰も教えていないはずの技をキメた。

「佐天さん!!」

『佐天! 大丈夫か!?』

着地と同時に近くまで来る信乃、感情を丸出しに心配する位置外が叫んだ。

「だ、いじょ・・・」

道路を渡り切った佐天は、言い終えることなく信乃の腕の中に倒れ込んだ。

「くそ!? 解析開始(トレース・オン)!!」

すぐに佐天の体を解析魔術で調べるが、大きな異常はなかった。
ただ、関節がかなり疲労しているだけで問題ない。

『怪我は?』

「・・大丈夫だ、心配ない。・・・位置外、佐天さんに何があった?」

『どこにも怪我はしていない。

 ただ、佐天がミスをした。

 取り戻すために焦って走り・・・その走りが“道”になった。

 お前の目の前で走った“道”にな』

「・・・・・“荊棘の道”(ソニア・ロード)か・・・・正真正銘の傑作だ」

『成果を出した佐天にはすまないが、愚民(てき)の排除が優先だ。

 佐天はそこの路地裏に隠しておけ。高貴なる私から神理楽(ルール)
 連絡して保護させる。

 お前はホイールを持って中に戻れ。宗像が少しだけ危険だ。
 調律(チューニング)も戻ってからにしろ』

「わかった、すぐ戻る。逃げた車も調べといて。報復してやる、絶対に。百倍返しだ!」

『当然だ。貴様が肉体的に、私が社会的に奴を消す』

「・・・・」

先程のひき逃げ未遂の車は止まらず、そのまま走り去っていた。

その事に信乃は内心怒っており、位置外の発言と自分の報復の内容が
それほど違っていなかったからスルーした、というのは信乃しか知らない。

佐天の背中とひざの裏に手をまわし、お姫様抱っこをして安全な場所に

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ