常盤台中学襲撃事件
Trick40_正真正銘の傑作だ
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今より速度を上げて通り過ぎることも不可能。
佐天が車に轢かれる直前に、信乃と位置外が目にしたのは
“人”の動きすら超えた技だった。
佐天はまだ、ギリギリではあるが横断歩道に入っていなかった。
左から来る車に対し、鋭利な曲がり(ターン)で自身を左に。
完全な直角で曲がる。
トップスピードのまま、横断歩道に入る前に車に当たるコースから外れる。
右肩に車のサイドミラーが掠った。それほどのギリギリの回避。
そして次の一歩、1メートルを進まないうちに、今度は右にターン。
車が横断歩道を通り過ぎると同時に横断歩道に突入した。
真上から見れば、まるで稲妻のジグザグの動き。
Trick - Avoiding Thorn -
1秒でも、1刹那でも早く速く届けたい佐天がとっさに出したのは完璧な技。
アクシデントのリカバリーで上級クラスの大技をキメた。
誰も教えていないはずの技をキメた。
「佐天さん!!」
『佐天! 大丈夫か!?』
着地と同時に近くまで来る信乃、感情を丸出しに心配する位置外が叫んだ。
「だ、いじょ・・・」
道路を渡り切った佐天は、言い終えることなく信乃の腕の中に倒れ込んだ。
「くそ!? 解析開始(トレース・オン)!!」
すぐに佐天の体を解析魔術で調べるが、大きな異常はなかった。
ただ、関節がかなり疲労しているだけで問題ない。
『怪我は?』
「・・大丈夫だ、心配ない。・・・位置外、佐天さんに何があった?」
『どこにも怪我はしていない。
ただ、佐天がミスをした。
取り戻すために焦って走り・・・その走りが“道”になった。
お前の目の前で走った“道”にな』
「・・・・・“荊棘の道”(ソニア・ロード)か・・・・正真正銘の傑作だ」
『成果を出した佐天にはすまないが、愚民の排除が優先だ。
佐天はそこの路地裏に隠しておけ。高貴なる私から神理楽に
連絡して保護させる。
お前はホイールを持って中に戻れ。宗像が少しだけ危険だ。
調律も戻ってからにしろ』
「わかった、すぐ戻る。逃げた車も調べといて。報復してやる、絶対に。百倍返しだ!」
『当然だ。貴様が肉体的に、私が社会的に奴を消す』
「・・・・」
先程のひき逃げ未遂の車は止まらず、そのまま走り去っていた。
その事に信乃は内心怒っており、位置外の発言と自分の報復の内容が
それほど違っていなかったからスルーした、というのは信乃しか知らない。
佐天の背中とひざの裏に手をまわし、お姫様抱っこをして安全な場所に
ゆ
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