第三十六話 止まらぬ歩み
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ミネルバではなくクラウの部下である以上、彼がラー・カイラムに移動するなら指示がない限りはそれについて行くのが道理だ。勿論、意見を申し入れることは出来るが柄でもない。
「だがまあ、悪くはなかったな……」
ミネルバでいた日々を思い返す。何だかんだ言ってそれなりに充実した日々だったことは確かだろう。そう思いつつ、纏めた荷物を抱えて部屋の明かりを消した。
◇
夢を見ていた。二年前の日常が壊れはじめた頃の夢だ。ヘリオポリスに居た僕は戦争なんてどこか遠い存在だと感じていた。ヘリオポリスの母体であるオーブのすぐ近くで戦闘があったと言われても、ヘリオポリスが中立であることに変わりはないと思っていた。
アスランと再会したのはそのヘリオポリスでのことだった。流されるままに友達を守るために連合軍に協力して、守ろうとしたものの多くを守れなくて、それでも武器を取って、少しでも多くを守ろうとして敵を討って行って……
『おまえの手だってすでに何人もの命を奪っているんだぞ!!』
分かっている――――――つもりではいた。でも、それはあまりに自分勝手な気持ちでしかなかったのだ。ストライクとイージスで戦っていたあの日のように、結局は一方的な理解でしかなかった――――――
「ん……」
医務室で傷を負ったキラは目を覚ました。どうやって生き残ったのかが今一思い出せない。
「キラ!目を覚ましたのか!」
医務室のドアが開き、カガリが入って来る。
「カガリ、僕は――――――」
言葉を続けようとするが、何を話せばいいのか分からない。アークエンジェルの事、フリーダムの事、それとも―――アスランの事?
「傷は浅い訳じゃないんだ。今は休んでおけ」
「うん、ごめんね。フリーダム―――落とされちゃった」
「今はそんなこと良いから安静にしてろ。医師も運が良かったって言ってたんだから」
そう言われて、体が重いことに気が付く。それと同時に意識もぼんやりとしだす。キラはそのまま眠るように意識を失った。
◇
「しかし、これからどうする気だね?キラ君が討たれた以上、こちらに戦力があるとは言い難いぞ」
最も性能が高く一騎当千型のフリーダムが落とされてしまった以上、アークエンジェルが取れる手段は多くない。数機のムラサメとアストレイ。ストライクルージュ、スカイグラスパー。キラが出撃できないことも含めてまともに動くことは出来ないだろう。
「難しいわね……アークエンジェル自身もあまり自由に動けるっていうわけじゃないのだし」
ラー・カイラム、ミネルバとの戦いでアークエンジェルにも損傷は出ていた。まともに戦闘が出来るかと言われれば難しい。スカンジナビア王国で補給を受けてはいたが、スカンジ
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