第三十五話 ジブラルタルの一時
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デスティニーの設定を確認し、インパルス内にあるシン自身のデータを取りに来る為に、シンは一度ミネルバの近くまで帰ってきていた。その時、ルナマリアがシンに声をかけて用件を言う。
「え、食事?」
「そうよ、ここのところ艦内での食事ばっかりだったじゃない。そりゃミネルバの食事がおいしくないってわけじゃないけど、どうせならおいしいところで食べたいでしょ?」
ルナマリアは以前話したときにクラウから予約を取って貰ったレストランにシンを誘っていた。代金は既に前払いで済ませているらしく、行って予約券を渡すだけで済むらしい。そんなわけで早速彼女はシンをディナーに連れて行こうとする。
「そうかな?ミネルバの食事でも十分満足してるんだけど―――」
しかしながら相手はそういった恋愛系の機微に疎いシンである。しかも彼は今新しい機体を受け取ったばかりである為、そちらに目が行っており、ルナマリアの誘いを中々受け入れない。
「あ、どうせならマーレさんと行って来たらどうだ?あの人そういうの慣れてるだろうし」
シンの中で最も大人なイメージのあるマーレを誘ったらどうだという(実際はアーサーの方が年上だが精神的なものではマーレの方が大人びた、というより落ち着いた感じだとシンは思っている)。
ハイネやアスランを誘うように言っても良かったが、ハイネはシンと同様に新型機を貰っていたし、アスランにはラクス(ミーアだとシンは知らない)という婚約者が居た筈だと、いらぬお節介でマーレを上げる。
「―――この馬鹿ッ!」
ルナマリアはその鈍さに思わず怒りを爆発させ、その場から去っていく。その様子を見たシンは何をいきなり怒り出したんだと不機嫌そうな顔で文句を言う。
「馬鹿って何だよ、いきなり―――」
「馬鹿に馬鹿って言って何が悪いんだ?このニブチン」
ボードを持ったクラウが後ろから現れ、それを使ってシンの頭を軽く叩く(といっても十分痛いが)。
「痛ゥッ―――いきなり何すんだよ、クラウ!?」
「むしろ俺の方が怒りたい―――なんで食事を断ったんだい?」
「いや、だってデスティニーの調整とか早いところしたいし、それにロゴスを討つためにそんな悠長な事も言ってられないんじゃ……」
軍人としては至ってまともな意見だとも言えるが、それで他のメンバーと不仲になったら尚悪いだろ、とも思ってしまう。というかシンは何故こんなに鈍いのだろうか?オーブにいた頃にもっとそういった方面を教えてやるべきだったかも知れない。そんな事を考えながらクラウは溜息を吐き、何とかシンがルナマリアと食事に行くように説得する事にする。予約しておいた店はやたらと高いキャンセル料が発生するのも説得する理由の一つだ。
「いいか、シン。まずデスティニーは議長も言っていたと
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