幕間「過去」
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黒いシンプルなリボン、赤い宝石が嵌められてカバーのついた通常のものより大きな指輪を取り出した。
「これが、お前達を守ってくれる希望になる筈だ。持って行け」
「「「はい!」」」
「良い返事だ。この子達を頼む」
『了解ですわ』
髪飾りとリボンは少女達に、指輪を少年に渡した人物は、自分の影に話しかけると、影の中から一頭身程の少女のような形をした影が飛び出した。
「こいつに付いて行けば大丈夫だ」
『では、行きますわよ』
三人が影の少女の後に続いて走り去るのを見届けた人物は、踵を返して三人とは反対の方向へ走って行った。
―――十年後
「ふあーあ。今日も異常ナシっと」
「いや、異常ならあったぞ。学園内のゴミ箱が一つ、ベッコンベッコンに凹んでいた。十中八九、例の彼の仕業だろう」
「いや、器物破損は警察とかの仕事だから。ウチラはお門違いもいいところよ、令音」
「ふむ、そうか。では、お疲れ様だな、琴里」
燃えるように紅いツインテールの少女、琴里は背筋を伸ばしながら、眠そうに目をこする白衣の女性、令音とSFに出てきそうな機械的な廊下を歩く。
「ところで、その腕に巻いているリボン。随分古そうだが、捨てないのかね?」
「ああ、これね」
令音に指摘され、琴里は右腕に巻いたリボンを感慨深そうに撫でる。
「これは私の『希望』なんだ」
「ほう。すると、シンの指輪と同じような物かい?あれ、結構うるさいから黙らせるように言ってくれないかい?」
「ゴメン。あれは、黙ると死んじゃうから」
「それなら仕方ないな」
―――同時刻、某コンサート会場
「……さん、出番です!」
「はぁい!今行きますわぁ」
マネージャーの声に、どこか間延びした声で応えた少女は、姿見の前で身に包んだコンサート衣装を確認する。
「おっと。これもですわね」
花びらを模した金の髪飾りを付けて、少女は会場へ向かう。
「そういえばその髪飾り、随分大切にしてますが、どういった物なんです?」
マネージャーの問いに、少女は一瞬考え込み次の瞬間にはその顔には朗らかな笑みが浮かんでいた。
「これは、私の『希望』ですわぁ」
誇らしげに笑う彼女に連られ、マネージャーもこれから始まるコンサートの不安も消し飛んで笑う。
「では、ミックミk」
「言わせねえよ!」
しかし、少女が言おうとした言葉にマネージャーは一瞬で鬼気迫る表情へと変わって、少女の言動を妨害するのだった。
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