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恋姫無双〜劉禅の綱渡り人生〜
劉禅、仲間を得る
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まで来ませんか。御礼ぐらいはさせていただきたいと思います」


 普浄に連れられて、俺はある村にたどり着いた。
「普浄様、ご無事で何よりです。で、この方は?」
 この村の村長らしき人も出迎える。
「この方は私を賊から助けてくれた命の恩人です」
「そうですか。普浄様を助けていただいてありがとうございます」
 村長は俺に頭を下げた。
「普浄どのはこの村で大事にされているようですね」
「そりゃあ、普浄様は以前、私どもを賊から守ってくださいましたから」
 村長は胸を張って言う。
「そんな大げさな。賊って言っても、たった十人程度ですよ」
「それでも、武力を持たない私たちにとっては一大事ですよ。普浄様はこの村の恩人なんです」
「やめてくれ、恥ずかしい!」
 普浄は照れて叫んだ。

「普浄様、お帰りなさい」
 普浄の家に着くと、数人の子供が出迎えて普浄にしがみついた。
「ただいま。客人が来てるから、今日は家の中では静かにな」
「はーい」
 子供達は普浄に返事をして、外へ駆けて行った。
「普浄どの、あの子らは?」
 俺は部屋に案内されると、普浄に尋ねた。
「戦や賊によって親を失った子らです」
「戦や賊か……」
 普浄は一息ついて、話を続ける。
「貴方の前でこう言うのもアレですが、劉備殿や御使い殿の失策のせいで、いまや成都の周囲では賊がはびこる状態です。劉備殿が要らぬ情けを賊にかけた為、賊が増長してしまったのです。私は、賊に情けをかけたのは最大の失策だと考えています」
「普浄どのは随分と手厳しいですな。賊とて同じ人であろう?」
 俺は普浄の言葉に少し驚く。
「私にとって、情けをかけるべき相手は、この子供達であり、悪人にかける情けはありません。たしかにやむを得ず賊に身を落とした人もいるでしょう。しかし民を手にかけた事実は消えません。民の為にも、賊は見逃すべきではありません」
「……たしかにな」
 普浄の意見に俺は納得する。
「今や蜀の中枢は腐りかけています。御使い殿は女に溺れ、武官も御使い殿に骨抜きにされ、軍部はダラけた状態です。政治も孔明殿、ホウ統殿に任せきり。これでは民は不安です。劉禅様、御使い殿を討ち、私たちでこの国を変えましょう!」
「国を変える、か……」
 俺は呟いた。今まで見てきた村は、どこも賊に怯えながら暮らしていた。たしかに孔明やホウ統達の政策で成都の街は活性化しつつある。しかし人材不足の為、地方にまで行き渡っていない。また軍部が腐りかけている以上、そろそろ変革が必要かもしれない。
 北郷を斬って、桃香の目を覚まさせる。それでもダメなら、俺が桃香の代わりに皇帝になる。
「普浄どの。俺と一緒に来てくれるか」
 普浄は、俺の問いに笑顔で答えた。
「はい。喜んで」
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