第九章 双月の舞踏会
第九話 伸ばされる手
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るそれは、超がつくほどの巨大な船であった。
「は……はは……何ていうものを作ったんですかあなたは……」
乾いた笑いが漏らす士郎に向かって、船からコルベールの声が響く。
「すまないが、早く何とかしてくれないかね! 事情は分からないが、どうやらミス・ヴァリエールが攫われたと思ってこのガーゴイルの足止めをしているのだが、それももう限界に近ってああっ! そ、そこはっ?! ちょっ、どれぐらいそこを作るのに苦労したと思っているのだねってアアッ!!? いや、だめだめ、そこ壊したらちょ、アッ―――」
段々と洒落にならない程の悲痛な声を上げ始めるコルベールに、何処か楽しげな笑みを浮かべていた口元を引きつらせた士郎は、焦ったように早口でタバサに声をかけた。
「ちょ、あ、た、タバサっ上昇してくれ」
「……上がって」
士郎の指示をタバサは直ぐにシルフィードに伝える。
タバサの命令を受けたシルフィードが、急上昇を始めた。
夜空へ向かって駆け上るシルフィードの速度が限界を迎えた瞬間、
「ッオオオオオオオォォォォッ!!」
雄叫びと共に士郎は飛び出した。
カタパルトに乗った戦闘機のようにシルフィードの背から飛び出した士郎は、一時の上昇の後、急降下を始める。
落ちる先には、ルイズを載せたガーゴイルの姿が。
「―――オオオオオオ―――」
引き抜いたデルフリンガーを両手で握り締め大上段に構える。
デルフリンガーを握る左手に刻まれたルーンが、夜空に輝く星もかくやという程に輝く。
そして、
「オおぁッ!!」
―――一閃―――
巨大な船で進路を防がれ立ち往生していた巨大なガーゴイルを、頭頂から股下まで真っ二つに切り開く。
二つに割れたガーゴイルから、ルイズの小さな体が滑り落ちる。
士郎は残った最後の魔力で空中に剣を投影すると、それを蹴りつけルイズの元まで飛ぶ。
巨大な二つの瓦礫の後を追うように落ちてきたルイズの身体を無事に抱きとめるが、士郎の身体はそのまま重力に引かれ落ちていく。
この高度で落ちれば命はない。
魔力も体力ももう欠片も残っていなかったが、不安も同じく欠片もなかった。
ガーゴイルが何かの魔法をかけていたのか、ルイズの瞼が動き、目を覚ます兆候を見せる。
閉じられた瞼が開き、ルイズの鳶色の瞳が姿を現す。
「……シロ、オ?」
「ああ、おはようルイズ。とは言えまだ夜だがな」
寝起きのぼおっとした顔で士郎を見上げるルイズ。
「あ、れ? わたし……何で―――ぷぁ」
「今はまだ寝てろ」
段々と目が覚めてきたのか、目の焦点が合い始めたルイズを見て、パニックを起こされてはと士郎はその身体を抱きすくめる。
一瞬びくりと身体を震
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