暁 〜小説投稿サイト〜
私立アインクラッド学園
第二部 文化祭
第12話 生きてる

[8]前話 前書き [1]後書き [2]次話
「ね、ねえキリト君あれってもしかしてもしかしてもしかして」
「落ち着けよアスナ……よく見ろよ、透けてなんかないし、脚だってある……あの子、生きてるぞ!」
「えっちょっ……キリトくん!?」

 明日奈が和人の方に手を伸ばすが、彼が急に走り出した為、見事に空を切った。

「もー!」

 明日奈は和人に聞こえるように大声で言うと、後を追った。
 追いついた時、和人の腕の中にはひとりの少女の姿があった。

「俺の姿を見た途端、突然倒れたんだ……」
「……依頼で聞いた女の子は、たぶんこの子だね」
「ああ。……けどこうして触れられる以上、幽霊なんかじゃないみたいだな」

 幽霊が本当に触れられないかなんて、誰にもわからない。事実、この少女の血色は良いものではないし、躰はあまりにも細すぎる。
 だが、なんとなく判る。この子は生きている──。
 そうと判った以上、こんなところに置き去りにしておくわけにはいかない。
 明日奈は呟くように言う。

「学園に連れて行きたいけど……寮には泊められないし」

 学園側など、大人にに引き渡すという選択肢もあっただろう。しかし、なんとなく思う。
 この子と離れたくない──。
 そんな明日奈の心情を悟ったのか、和人は熱心に考え始めた。
 和人が口を開く。

「……こないだやった方法は?」
「こないだ、って?」
「前にスグやユージオと依頼で出掛けた時にさ、寮に帰るのは難しいから……って行ったとこ」

 和人が学生証を提示する。

「ああ!」

 明日奈はパンッと手をうつと、自分の学生証を取り出し、真上に放り投げた。


[8]前話 前書き [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ