第2幕 曹孟徳
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ダンゴ鼻はそのままだが、顔全体が……いや、体全体が縮んでいる。
否――若返っていた。
「わ、わし……どうなっとるんじゃ!?」
自分の手足を見るが、甲冑はそのままだが、肉体年齢は十五・六ほどまで若返っていた。
(これではまるで……稲葉山の頃の姿になっとる)
若くして数多くの失敗をした苦い思い出……お蝶を失い、堀久太郎に殺されかけた思い出が蘇る。
そして、信長様に初めて会ったあの頃を……
「貴方……本当に大丈夫? 見たこともない姿をしているけど、細作にしては間抜けだし……」
少女が呆れた声で溜息をつく。
その声に、ゴンベエは振り返った。
「……どうなっとるんじゃ?」
「は?」
「わしは夢でも見とるんかの?」
「知らないわよ」
「わし、若返っておるんじゃが?」
「だから知らない……ってちょっと待ちなさい。若返った?」
「夢じゃ……そうじゃ、夢の続きじゃ……そもそも半兵衛様が生きておられるわけがない……」
「ハンベエって誰よ」
「そうじゃ、もう一度寝よう……そうすれば、もとに戻るはずじゃ……」
「あ、貴方ねえ……人の話を……」
「そうじゃ、そうじゃ……目覚めれば、元に……」
「いい加減になさい!」
ゴスッ!
「ぬあっ! くぁぁ……ッ! 何するんじゃっ!」
ゴンッ!
再び、鈍器のようなもので殴られる。
否、それは巨大な鎌だった。
「さっきから理由のわからないこと言ってるんじゃないわよ! 貴方がどう思おうと、ここにいる貴方は現実よ! 貴方は私のお気に入りの場所で、ぐーすか寝息を立てていたの! まったく……久しぶりに政務が早く終わったから涼みに来てみれば……」
「おおおおお……」
突きつけられる巨大な鎌に、引き攣りながら頭を押さえるゴンベエ。
少女は、その鎌の切っ先をゴンベエの首へと当てた。
「どこの馬鹿か、細作かと思って近づけば、鼻提灯だして眠りっぱなし。とは言え、放置もできずにどうしようかと思っていたら、眼を覚まして訳の分からないことを言い出した挙句、言うに事欠いて人のことを孩子扱い? 随分舐めたこと言うじゃないの」
「は、はいず? おんしゃ、なにいっとるんじゃ?」
「あ・な・た・が! 何言ってるのか、わかんないのよ!」
少女は、その勢いのまま、ぶんっと鎌を振るう。
たまらず、ゴンベエは首を縮めてその鎌を躱す。
「あ、危なっ!? なんつーぶっそうな女子じゃ! 南蛮人の女子は、こんなんか!?」
「誰が南蛮人よ! あんな変な奴らと一緒にしないで頂戴! 私は、生まれも育ちも曹一族よ!」
「そう? そうなんて豪族、知らんぞ!?」
「まだ言うか、このっ!」
少女の振るう鎌を、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ