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センゴク恋姫記
第2幕 曹孟徳
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ダンゴ鼻はそのままだが、顔全体が……いや、体全体が縮んでいる。
 否――若返っていた。

「わ、わし……どうなっとるんじゃ!?」

 自分の手足を見るが、甲冑はそのままだが、肉体年齢は十五・六ほどまで若返っていた。

(これではまるで……稲葉山の頃の姿になっとる)

 若くして数多くの失敗をした苦い思い出……お蝶を失い、堀久太郎に殺されかけた思い出が蘇る。
 そして、信長様に初めて会ったあの頃を……

「貴方……本当に大丈夫? 見たこともない姿をしているけど、細作にしては間抜けだし……」

 少女が呆れた声で溜息をつく。
 その声に、ゴンベエは振り返った。

「……どうなっとるんじゃ?」
「は?」
「わしは夢でも見とるんかの?」
「知らないわよ」
「わし、若返っておるんじゃが?」
「だから知らない……ってちょっと待ちなさい。若返った?」
「夢じゃ……そうじゃ、夢の続きじゃ……そもそも半兵衛様が生きておられるわけがない……」
「ハンベエって誰よ」
「そうじゃ、もう一度寝よう……そうすれば、もとに戻るはずじゃ……」
「あ、貴方ねえ……人の話を……」
「そうじゃ、そうじゃ……目覚めれば、元に……」
「いい加減になさい!」

 ゴスッ!

「ぬあっ! くぁぁ……ッ! 何するんじゃっ!」

 ゴンッ!

 再び、鈍器のようなもので殴られる。
 否、それは巨大な鎌だった。

「さっきから理由(わけ)のわからないこと言ってるんじゃないわよ! 貴方がどう思おうと、ここにいる貴方は現実よ! 貴方は私のお気に入りの場所で、ぐーすか寝息を立てていたの! まったく……久しぶりに政務が早く終わったから涼みに来てみれば……」
「おおおおお……」

 突きつけられる巨大な鎌に、引き攣りながら頭を押さえるゴンベエ。
 少女は、その鎌の切っ先をゴンベエの首へと当てた。

「どこの馬鹿か、細作かと思って近づけば、鼻提灯だして眠りっぱなし。とは言え、放置もできずにどうしようかと思っていたら、眼を覚まして訳の分からないことを言い出した挙句、言うに事欠いて人のことを孩子(ハイズ)扱い? 随分舐めたこと言うじゃないの」
「は、はいず? おんしゃ、なにいっとるんじゃ?」
「あ・な・た・が! 何言ってるのか、わかんないのよ!」

 少女は、その勢いのまま、ぶんっと鎌を振るう。
 たまらず、ゴンベエは首を縮めてその鎌を躱す。

「あ、危なっ!? なんつーぶっそうな女子(おなご)じゃ! 南蛮人の女子は、こんなんか!?」
「誰が南蛮人よ! あんな変な奴らと一緒にしないで頂戴! 私は、生まれも育ちも曹一族よ!」
「そう? そうなんて豪族、知らんぞ!?」
「まだ言うか、このっ!」

 少女の振るう鎌を、
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