第三十四話 運命と伝説
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る懸念の一つ。アスランの不調の原因は明らかにあのアークエンジェルである事は確かだ。確固たる意思―――おそらくアスランは悩んでいる節があることは間違いない。
当然だろう。覚悟を決めても、断ち切っても結局は悩んで後悔するのが人間だ。
「ま、考え無しよりはマシだよな。でも、前にも言ったはずだぜ。割り切れよ」
「ああ……だから、戦場に出るまでには覚悟を決めるさ。俺も人並みに器用に生きてみたいよ。でも、不器用だからな……」
用意された部屋の前に辿り着き、ハイネと別れる。部屋にあった椅子にもたれかかり、天井を見上げながら考え込む。キラは自身の手で討った。それが本当に自分にとって良かった事なのか?幾度と無く考え込んだ事だ。いい加減区切りをつけるべきだとも思う。それでも、それでも尚―――
「俺たちは本当は何がしたかったんだろうな……」
彼等だって平和を誰よりも望んでいたはずだ。ただ、議長の望む平和と彼等の平和が違うのではないか?キラに言われたときからどうしても頭を離れない。議長は己の役割を重視することで本当の平和に繋がるといった。それは思いすらも踏みにじるのではないか……だから彼等は―――
「よそう……何時までも考えたって俺の独り善がりでしかないんだ。本当の理由なんて今の俺じゃ分かる筈もない……」
そう結論を出すとドアがノックされ、そのまま開かれる。ロックはかけておいた筈だが―――そう思い、警戒していると入って来たのは―――
「アスラン―――」
ミーアだ。ディオキアの基地のときもそうだったが、彼女は一応は俺の婚約者である以上、フロントに頼めば入れて貰えるのだろう。フロントの人間も迷惑な気遣いをするものだと思う。
「どうしたんだ、ミーア。ここは俺の部屋だぞ。勝手に入ってくるなんて―――」
「ごめんなさい、でもお話したかったから……あ、ここのすぐ側にあるお店の料理がおいしいって言ってたの。良かったら一緒にいかない!」
荒んでいた状況だったせいもあるだろうが、少しだけ気遣いを見せるミーアに、そういった周りに見せるパフォーマンスも重要かと考え、その提案を受ける事にする。
「ああ、わかったよ、ミーア。準備するから少しだけ待っていてくれ」
「あら―――」
「どうした、ミーア?」
少し驚いた様子の声を上げるミーアに思わずといった調子で尋ねるアスラン。その後、ミーアはにっこりと微笑んで嬉しそうな弾んだ声を出す。
「だって、貴方が笑ったところ―――初めてみたんだもの」
彼が馴染んでないと言うか、距離を感じさせる関係。笑顔を見せても笑ってはいない。明らかに苦笑と言った感じの表情。それが変わって少しだけ、ほんの少しだけ距離が近づけたかもしれない。そうミーアには思えた―――そんな風に感じさ
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