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ストライクウィッチーズ1995〜時を越えた出会い〜
第二十二話 五十年後
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われたところをようやく見つけて連れ戻したんだから」
(なにしてるんですか坂本少佐……)
でも、かわっていなくてよかった。そういう坂本さんらしさがそのままであったことに、わたしはとても安堵したのだ。
「わたしも芋の皮むきを練習したぞ。いまならお前にも負けはせんな」
「……嘘ばっかり。トゥルーデはね、退役したあとは保母さんになったんだよ。お姉ちゃん、お姉ちゃんって言われることに喜――っ!?」
「……コホン。ともかくだ。――帰って来てくれてうれしいぞ、沖田」
その時初めて、わたしは「帰って来たのだ」と実感した。
だからこそ、今ここで伝えなければいけない言葉がある。
「よいしょ……と」
今ココに集まった十一人の仲間たちに真っ先に伝えなくてはいけないこと。
501統合戦闘航空団の一員であったものとして、言わなくてはならないこと。
一人で立てないのが悔しいけど、わたしはベッドの上で背筋を伸ばした。病み上がりの身でできるせめてもの誠意だ。
「……ミーナ中佐、坂本少佐、それに皆さんも」
「……………………」
この言葉を、ずっと伝えなければならないと思っていた。
いままで五十年もの間、ずっと自分の帰りを待ち続けてくれたかけがえのない仲間に向かって、わたしは精いっぱいの感謝と尊敬の念を込めて帰還を告げた。
「――第501統合戦闘航空団所属、沖田和音。ただいま帰還しました」
その言葉に、ミーナ中佐たちも踵を揃えて敬礼の姿勢をとる。
五十年越しのわたしの帰還を、ずっと待っていてくれたのだ。
「――ストライクウィッチーズ、全機帰還を確認。本日現時刻を以て、第501統合戦闘航空団を正式に解散します。……おかえりなさい、沖田さん」
――こうして、わたしの長いロマーニャでの戦いは終わりを告げた。
後日、サーニャさんのコンサートに招待されたりして何度か会う機会があって、その後はみんな自分の故郷へと帰っていった。
わたしも体が回復した後は部隊に復帰して、訓練に勤しむ毎日を送っている。
そうそう、わたしが退院するのと同じ日に、坂本さんは軍籍を離れた。
曰く、「これからは若い連中の時代だ。わたしはそれをここで眺めている」との事らしい。
その癖道場にウィッチを呼んではシゴキ倒しているのだから、やっぱりあの人は骨の髄まで教官なのだろう。
「そこ!! 隊列乱さないで!! 戦場では一瞬の油断が命取りよ!!」
「は、はいっ!!」
かく言うわたしも、今は先輩として後輩を指導する立場だ。
ロマーニャでの実戦経験が功を奏し、わたしの率いる新人たちはそこそこの練度になっている。もちろん私もまだまだひよっこなワケで、これからも
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