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ストライクウィッチーズ1995〜時を越えた出会い〜
第二十二話 五十年後
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残していた。

「久しいな、少尉。ゲルトルート・バルクホルン元大尉だ。まさか忘れたとは言わんだろうな?」
「五十年ぶりだね、沖田。身体はもういいの?」
「バルクホルン大尉……ハルトマン中尉まで……!!」

 あのころは絶対に着なかったであろう、明るい色のカーディガンを羽織った二人が、柔らかな笑みを浮かべてそっと手を差し出してきた。すっかり皺くちゃになってしまった二人の手は、だけどいつかの温もりをそのまま宿しているような気がする。
 大尉たちだけじゃない。あの時の501部隊の全員が、わたしの見舞いに来てくれていたのだ。

「……エイラ・イルマタル・ユーティライネンだゾ。覚えてるよナ?」
「五十年ぶりね。サーニャ・V・リドビャグよ。覚えていてくれたかしら? オルゴールを送ったのよ」

 そうか、やっぱりあのオルゴールの演奏はサーニャさんのピアノが元だったんだ。スオムスやオラーシャからはずっと遠い国なのに、五十年たった今こうして駆けつけてくれたのか。
 相も変わらず二人はずっと一緒なのかと思うと、わたしは急に可笑しくなった。

「リネット・ビショップよ。和音ちゃん、約束覚えていてくれたかしら?」
「ペリーヌ・クロステルマンですわ。随分無茶な帰還をなさったのね。ニュースで聞きましてよ」
「ペリーヌさん、リーネさんも!!」

 いつか三人で話したように、リーネさんは本当におとぎ話に出てくる優しい魔女のおばあさんのようになっていた。片やペリーヌさんはそのままで、「青の一番」と謳われたあのころから微塵も変わってはいない。貴婦人という言葉がそのまま当て嵌まる高貴さをそのままに、落ち着きと優雅さがさらに深まったような気がして、わたしはおもわず固まってしまった。

「お? なんだわたしが一着かと思ったら違ったのか……。元気か? 沖田」
「お久しぶり。マリアからも手紙を預かったのよ。あとで読んで頂戴。返事を楽しみにしていたもの」

 一番驚いたのはシャーリーさんとルッキーニちゃんだった。
 もう七十歳になろうというのにシャーリーさんは派手なバイク用のジャケットを着ているし、ルッキーニちゃんに至っては口調も髪型もまるで別人だ。さりげなく握手のついでにおっぱいを揉んでくれなければ、きっと本物かどうかわからなかっただろう。

「ここはね、わたしの設立した病院なの。だから和音ちゃんの意識が戻ったってきいて、部隊の皆に連絡してみたのよ。坂本さん以外はすぐに連絡がついたのに……」

 宮藤さ……宮藤先生が優しそうに目をぱちくりさせながら言うと、竹刀を手にした坂本少佐はそっと目を逸らした。

「ふふ。美緒ったらね、もう七十を数えているのに「剣術修行だ!!」なんて言って富士山に行って、そのまま迷子になっちゃったのよ。終いには仙人に間違
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