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ストライクウィッチーズ1995〜時を越えた出会い〜
第二十二話 五十年後
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てもよろしいですか?」
「ああ、構わないよ。それくらいの時間ならわたしにもある」
隊長はそう言ってドアに寄り掛かった。
わたしは貰った紙袋を毛布の上に置くと、中身を取り出して並べてみた。言葉通り随分な量が入っていたので、わたしのベッドはあっという間にものだらけになってしまった。
「これが千羽鶴で、こっちは替えの下着、タオルにティッシュと、これは歯ブラシか……わ、ラジオまで入ってるし。えーとあとは――」
ゴソゴソと紙袋を漁りながら荷物を広げていると、最後に小さな封筒が出てきた。
差出人も宛先も書いていない。とすると、親か誰かからの手紙だろうか?
「その手紙なんだがな、上のお偉いさんがその小包と一緒に送ってよこしたんだ。始末書か、はたまた召喚状かとヒヤヒヤしたんだが、どうもそうではないらしい。ま、お前宛ての物をわたしが開けるわけにもいかないだろう? せっかくだから開けてみてくれ」
「なるほど、そうだったのですか」
隊長より上の人間――というと全く面識も心当たりもなさ過ぎてまるで見当がつかないが、ともかくあまりうれしいものではないだろう。手紙の封筒なんか白一色だし、無機質なことこの上ない。たぶん事故についての詳しい調査とかをされる旨が書いてあるんだろう。
そう思ったわたしは、特に何の気構えをすることもなくその小包を開いた。
すると――
「これは、その……オルゴール、ですか?」
「うむ、オルゴールのようだな。それもかなり凝った造りの」
包みの中身は、小さなオルゴールだった。シックな木材の箱の中に演奏器が入っている。隊長の言う通り随分凝った造りだ。よく見ると、木箱自体にも何か掘り込みがされているようだった。
「ふぅん。お偉方にも粋な奴ってのはいるものだな……ま、わたしはそろそろ行くよ。沖田、あまり看護婦の手を焼かせるなよ?」
「な……っ!?」
最後にそう言って手を振ると、今度こそ隊長は帰っていった。
再び静かになった病室で、わたしはもう一度オルゴールを眺めてみる。
「綺麗だな……」
まだどんな曲を奏でるのかはネジを巻いてみないと分からないけど、外装だけでも随分な凝りようだ。上の人間が一兵卒に過ぎないわたしに送るものとしてはやや行き過ぎな感さえある。
「……ん?」
そこまで考えた時、わたしは木箱の掘り込みがいつかどこかで見たような気がしてハッとした。
あわててカーテンを開け、明るい日差しの下に置いてみる。するとそこには――
「これって……」
忘れてなんかやるもんか。柔らかな陽光に当てられて浮き彫りになったその模様は、ついこの間までわたしが毎日のように目にしていた大切な部隊章なのだから。
「第501統合戦闘航空団の部隊章だ……」
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