暁 〜小説投稿サイト〜
箱庭に流れる旋律
はい!歌い手が呼ばれました!
歌い手、湖に落ちる
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・・・皆、苛立ってるのは分かるけど、殺気のこもった目線はどうかと思うよ?初対面なんだし。

「や、やだなあ御三人様。そんな捕食者みたいな目で見られては黒ウサギは死んでしまいますよ?」

 あ、やっぱりその耳とか尻尾とかはウサギのなんだ。見たまんまの(色は違うけど)名前でちょっと驚いた。
 後気になるのはあの格好だけど・・・服装なんて本人の趣味しだいだよな。どんだけ露出の多い格好をしていても他人が口出しすることじゃない。

「古来より、弱い生き物であるウサギには捕食者と孤独という二つの天敵がございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」
「断る」
「却下」
「お断りします」
「僕は別にいいけど・・・君たち三人はなぜこの状況でそれがいえるんだ!?」

 驚きだよ。まさか三人が三人とも拒否するんて・・・

「あっは、取り付くシマもないですね♪そして、そちらの殿方!味方をしてくださりありがとうございます!」

 あ、何かお礼言われた。
 しかも今の感じは・・・心の底からの一言?苦労してるのかな・・・?
 まあ、悪い人じゃないみたいだし・・・ん?春日部さんは黒ウサギさんの背後に回って何をするつもりなのかな?嫌な予感しかしないんだけど・・・

「えい」
「フギャ!」

 ウサ耳思いっきり引っ張ったー!?おかしいな、初対面だよね!?何でそんな躊躇いがないの!?そして何でウサ耳は抜けないの!?本物なのか・・・?

「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでならまだしも、なぜ引っこ抜きに!?さすがに受け入れられませんよ!?」
「どうなってるのか気になってつい・・・」

 好奇心!?好奇心で引っこ抜きにかかったのか!!?

「へえ?そのウサ耳は本物なのか?」
「・・・。じゃあ私も」

 あ、残りの二人もウサ耳をつかんで・・・左右に力いっぱい引っ張った。そして黒ウサギは言葉にならない悲鳴を上げてるし・・・何この状況?

「三人ともストップ!黒ウサギさんすごく痛そうだから!」
「その方の仰るとおりです!早く黒ウサギの素敵耳を離してください!」
「やなこった!こんな面白いもん、飽きるまではいじるに決まってんだろ!」

 いやおかしいだろ!そしてなんで久遠さんに春日部さんも頷いてるんだよ!
 ああ・・・仕方ない。だったら他のものに意識を移してもらうか。あんまり長い曲をやってもだし・・・これでいくか。
 力をこめないようにして、全てを奏でる。

「Sah ein Knab ein Ros-lein stehn,」

 少年が一本の小さなバラを見つけた

「へえ」
「これは・・・」
「きれいな音ね」
「うん。ほんとうに・・・」

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