第三十三話 新たな道筋
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帰艦してからアスランは憔悴していた。この手でキラを討った。それは酷く疲れを感じさせていた。報告書を提出して以来、彼は食事とMSの整備以外では自室でずっと塞ぎこんでいた。
「やっぱり心配か?」
そのアスランの部屋の扉の前で悩むような素振りで佇むシンを見つけたハイネが声を掛ける。シンは慌てたように取り乱して敬礼する。
「いいよ、そんなに気負うな。楽にしておきな」
「あ、はい」
敬礼を止め、普段通りの様子を見せるシン。
「ま、気持ちはわからんでもないがね……」
ハイネは何処か疲れた様子で溜息を吐く。
「そう、ですね……親友でしたっけ、あのフリーダムのパイロットって?でも、あの人は―――アスランは正しい事をしたと俺は思います」
「確かにそうだな―――だけどよ、正しい事だからって何でも出来るか、シンは?」
「え?」
言われて初めて気が付く。確かに、正しいからと言って何でもやるとは限らない。
例えば、不良に絡まれている人を助けようとする行為は正しいが、実際にそれを行える人物はどれ程いるだろうか?それと同様に、正しいからって友人をこの手にかけることが出来るのか?もし、レイやルナマリア、アスラン達がそんな立場になったとき、自分は本当に討てるというのか?
「おっと、あんま深く考えすぎんなよ。お前さん等の悪い癖だぜ」
そう言って、肩を叩いてハイネは笑いかける。その言葉にシンも落ち着きを取り戻して苦笑で返す。
「考えすぎるなって、ハイネの方から言ってきた事だろ?」
「ああ、悪い悪い」
そうだ、きっと考えすぎて悪い方へと向いていっているのだ。アスランだって自分で決めた事だと言っていた。話せば少しは楽になるかもしれない。
「少し、話してみようと思います。その、ありがとうございました!」
「気にすんな。俺は何もしてないさ」
そう言って手を振りながらハイネはその場から去っていく。シンは改めて服装を整えて緊張を解し、扉をノックした。
「アスラン、入ってもいいですか?」
少しして扉が開く。寝ていたらしく着ている服は軍服ではなくシャツだった。
「シンか…何か用か?」
「用って訳じゃないんですけど、その…皆も心配してるし、少しぐらい顔を見せてもいいんじゃないですか?」
そう言った直後、アスランは少し驚いたような顔をして、弱弱しくも笑みを浮かべた。
「らしくないじゃないか、シン。お前も俺の事が心配だったのか?」
「なッ!いや、心配だって言うのは皆の事で―――でも、俺も……少しだけ、その、心配してましたよ!ええ、だってアンタはミネルバのエースなんですよ。そのエースが何塞ぎこんでるんですか」
先程よりもより一層驚いた顔をするアスラン。シンが
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