常盤台中学襲撃事件
Trick38_君は女性に乱暴をするんだね。だから殺す
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かずに、隣のビルに移る。
貯水タンクの踏み台も完璧だ、そう思う出来だ。
その後も2建連続で跳び、4建目の建物を目掛けて足に力を込めた。
だが、見えた屋上は一面緑色をしていた。
「・・・え?」
間の抜けた声を出す佐天。
風力発電でエネルギー供給や地球温暖化に直接心配がない学園都市であろうとも、
やはり緑化運動と言うものはあったらしい。
屋上に植物を植えて少しでも二酸化炭素を減らす。
その取り組みで4建目の、佐天が飛び移ろうとしていたビルは緑化運動をしていた。
一面緑。屋上の至る所に植物の植木鉢を置いている。
つまり、着地する足場が無い。
『愚民! 右方向の出入り口だ!』
「ッ!?」
驚きで真っ白になっていた佐天は言われるままに、とっさに踏み出しかけた左足に力を
入れて右方向に跳ぶ。
位置外の指示にあったのは屋上の出入りを行うドア。
ドアを開閉するため、その付近には植木鉢は置かれずコンクリートの色が見える。
とっさとはいえ、偶然にも方向と距離がわずかなスペースにぴったりと合った。
着地地点は成功。だが、着地そのものは失敗した。
「きゃ!!」
空いていたのはドアを開閉するためのわずかなスペース、2メートル四方だけ。
走ってきた勢いをそのままに、2メートルでブレーキをかけられるはずがなかった。
そのまま植木鉢のいくつかを蹴り飛ばし、踏みつけてバランスを崩す。
勢いはそれでも止まらず、屋上の手すりから体を放り出された。
ゾクッ!!
浮遊感。A・Tを使っている上で必ず付き纏う恐怖が佐天を襲う。
その恐怖はA・Tで体勢を作っているからこそ克服できた恐怖であった。
だが、体勢は全く取れていない。だから、純粋な恐怖が佐天を襲った。
ガサッ
偶然にも、建物の側に生えている街路樹に落ちた。
「ハァ・・・ハァ・・・わ、わたし・・・生きてる・・・」
2階建てとはいえ受け身を全く取れずに放り出されれば、死ぬと感じる恐怖があった。
それが自分の最高速度で突っ込み、勢いのまま落ちたのだからよけいに恐怖した。
『何を休んでいる! 早く木から降りろ! 時間が無いんだぞ!』
「は、はい・・・」
本人にとっては九死に一生の体験だっため、少し放心状態だった。
動きはしたが木から降りるのもゆっくりになってしまう。
幸いに木の葉と枝がクッションになって、体のどこにも痛い部分はない。
だが、結果的に1分のタイムロスが発生した。
「つーちゃんはこのこと、知ってたの?」
木から降りながら位置外に聞いた。
≪このこと≫とは、佐天が降りたビルに足場が無いことだ。
『
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