旧校舎のディアボロス
第10話
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の様子にアーシアが言葉を続ける。
「・・・きっと、私の祈りが足りなかったんだと思います。私って抜けてますから。迷子になってしまうくらいですから・・・」
そう言いながら涙を拭う彼女に俺たちは言葉をかけることができない。
「これも主の試練なんです。私がダメなシスターだからこうやって修行を与えてくれているんです。今は我慢の時なんです」
彼女は笑いながら言葉を続ける。自分に言い聞かせるように。
「お友達だってきっとたくさんできます。私、夢があるんです。お友達と花を買ったり、おしゃべりしたり・・・」
その夢は普通、誰しもが叶えている夢だ。当たり前のように持っているもの。
でも彼女は普通の尺度では測れない力を持っていた。故に普通の思いすら通らなかった。
もし、彼女にその力がなかったのならば、田舎町の教会でその夢をかなえていたかもしれない。
だが、そんなもしもの話はありえない。過去には戻れないのだから。
ならどうするか。そんなの簡単だ。
「俺が友達になってやる!いや、もう俺たちは友達だ」
イッセーがアーシアに向かってそう宣言する。
「悪魔とか関係ない。一緒に買い物したり話したり遊んだりしよう!」
淀みなく真っ直ぐにアーシアに言う。
「そうだな。その時は俺も『アーシアの友達』として付き合おう。どこかのバカが変なことをしないように」
「おい朔夜!俺がそんなことするか!」
「俺はどこかのバカとしか言っていない。それにバカの自覚があったのか」
そう、俺たちがしてやれることは簡単だ。友達になればいい。
「・・・それは悪魔としての契約ですか?」
「そんなんじゃない!友達ってのはそんな契約とかそんなんじゃない!」
「そもそも、俺は悪魔じゃないしな」
「・・・私、文化もしりませんし、日本語も話せません」
「俺が教えてやる。いろんなところを見て回ろう!」
「日本語なら俺が教えよう。成績トップの見せ所だ」
「・・・私と友達になってくれるですか?」
「ああ、これからもよろしくな。アーシア」
「よろしくたのむ」
イッセーは手を差し出す。
アーシアは涙を流しながらその手を握った。
◇◆◇
次はこれからどうするか。話し合わなければいけない。
「部長、あの教会についてどうでした?」
「調査中よ。ただもしかしたら・・・いえ、結果が出てから言うわ」
どうやらきな臭い感があるようだ。
「それで、彼女はどうするの?」
「そうですね。部長、なんとかできません?」
「できなくないけど。今は堕天使がうろついてるみたいだからそれをどうにかしないことには難しいわね」
「ならその間は俺の家に匿うということで。この部屋なら気づかれないでしょう」
見つかると、裏切り者として連れて行かれるか、殺されるか
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