旧校舎のディアボロス
第10話
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そんな女の子に不思議な力が宿ったのは八つの時です。
死にそうになっている子犬が教会に迷い込んできました。
女の子は必死に祈りました。
すると女の子の祈りが通じたのか奇跡が起こりました。
先ほどまで死にそうになっていた子犬の怪我がみるみる治っていき、元気になりました。
そんな、光景をカトリック教会の人が見ていました。
女の子は教会の本部に連れて行かれそこで治癒の力を宿した『聖女』としてあがめられるようになりました。
女の子は教会を訪れた信者の怪我を治すようになりました。
女の子はその生活に不自由しませんでした。
教会の人たちは女の子によくしてくれました。
自分の力が人のお役に立てると女の子は喜びました。
神様が授けてくれたものに感謝しました。
ですが女の子はさみしくもありました。
女の子には友達がいませんでした。
みんな、女の子に優しくして、大事にしてくれました。
ですが、女の子に友達はできませんでした。
女の子は知っていたのです。
彼らが女の子の知らない所で異質な目を向けていたことを知っていたのです。
そんな女の子に大きな出来事がありました。
ある日、女の子は大きな怪我をした悪魔に出会いました。
とても優しく育った女の子は悪魔の傷を治しました。
しかし、それがいけなかったのです。
その出来事を教会の人が知りました。
すると女の子は魔女として蔑まれるようになりました。
悪魔を治すことのできる異端の魔女と呼ばれるようになったのです。
教会は女の子を追放しました。
行くところの無くなった女の子は東の国のはぐれ悪魔祓いの組織に入りました。
堕天使の加護を受けなければいけませんでした。
女の子は多くの人々を救ってきました。
――――しかし、人々は女の子を救いませんでした
女の子は神様に祈りを捧げ、感謝していました。
――――しかし、神様は女の子をすくいませんでした。
―――――――――――女の子に味方してくれる人は誰もいませんでした。
◇◆◇
アーシアの話が終わると部屋は静寂に包まれた。
ひどい話だ。俺はその教会関係者に憤りを感じていた。
神様は正直どうでもいい。神様がすべてをどうにかできるなんて思っていないし、その場にいない者にどうにかしろと言うつもりもない。
だが、彼女を見てきた教会の関係者は別だ。
彼女の行いをずっと見てきたはずだ。彼女の祈りをずっと見てきたはずだ。
なのに捨てた。魔女として。
イッセーも似た感想のようだ。怒りを隠そうともしていない。
部長や朱乃さん、小猫も抑えているようだが怒りが漏れている。
祐斗にいたっては殺気すら感じる。
そんな俺たち
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