暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
英雄達の凱旋歌
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人の黒髪の青年。
幼さを少しだけ残すその青年は、レンの背後で閉まった扉の音に伏せていた瞳をこちらに向けてきた。
深海を思わせる深い青色を称えたその瞳を正面から見たレンは、不思議な感慨を覚えた。
どこか懐かしいような、そんな感覚。
その青年はパタリと鍵盤を閉じると、静かに立ち上がった。
そして、言う。
「やぁっと来たか。待ちくたびれたぞコラ」
そんな、お世辞でも品のない口調で言葉を紡ぐ。しかし、その声にもどこか深いいらえが混じっている。
「あなたは…………誰?」
思わずといったレンの言葉に、その青年はフン、と盛大に鼻を鳴らした。
「何を言うかと思ったら、誰と来たか。ハッ!ったく、誰がお前ぇを見守ってきてやったんだっつぅの」
吐き捨てるように言う青年。しかし、その顔は全く嫌そうじゃない。
なぜか、ワクワクという擬音語が付きそうな勢いで顔を輝かせている。それを不器用に隠そうとしているのがかえって滑稽であった。
それに、レンには男の口調に心当たりがあった。
そう。命を懸けるような局面で、いつも心の奥底で自分の叱咤し、時には叱りつけて外れかけた道を正してくれた正体不明の《声》。
「キミは………、まさか《鬼》?」
「へぇ、お前ぇは俺のことをそう呼んでるのか。まぁいいぜぇ?お前ぇが俺をどぉ呼ぼうが、知ったこっちゃねぇ事だしな」
そう言って、クククッと青年は嗤う。
「まぁ、自己紹介するならぁ、
狂怒
(
きょうど
)
ってとこかねぇ。俺の名ぁ」
「狂怒?」
「あぁ、《災禍》より産まれ落ちた三兄弟の一人だ」
男の言葉を聞いて、レンは息を呑んだ。
災禍。
それは最も忌まわしい言葉だ。
それを聞き、レンが連想するのは唯一つ。
災禍の鎧。
一人のプレイヤーが残した負の遺産であり、そして忌まわしき呪いの連鎖。
しかし、その鎖は六代目所有者《鬼神》PoHを倒した時に断ち切ったはずだ。しかし、目の前にいる男はそれから産まれ落ちた存在だと言っている。
「そ、それは、どういうことなの?」
「あぁ?どぉもこぉも、手前ぇ等《六王》が親父をブッ倒した時に、親父の体ぁ三つに分かたれたのさ。俺以外の二人はどっかに行ったが、俺は一番近くにいたお前ぇにへばり付いた。手前ぇも覚えてんだろ?」
もちろん覚えていた。
レンはまざまざと覚えている。
五代目《災禍の鎧》討伐戦、《六王》一丸となって戦ったあの血みどろの戦いだ。その最後、レン自身が刎ねた首が突如として動き回り、肩口を喰い千切らんばかりに噛み付いたのだ。
その時についた傷は、よほど負の心意が詰まっていたのか、その後一ヶ月間に渡ってレンを痛みに苦しめた。
レンの顔色
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