暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
英雄達の凱旋歌
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すぎている。

「ストルの話では二週間ってことだったんだけどね。まったく、人間もそうだけど、火事場の馬鹿力って本当に信じられないようなことを可能にするんだね」

そう言って、セイは何が面白いのかくすくすと笑う。

飛んでくる凶刃は、それ一振りで何人の命を奪うのだろうか。

そう考えさせられるほどに、ドス黒い。

「笑ってる場合じゃないぞ、セイ君。あれじゃあ近付くことも困難だ」

「心配する必要はないよ、リョロウ。今のレン君の体で、あれレベルの心意に生体脳がいつまでも持つはずもない。じきに気を失うさ」

「だといいんだが………。その時、彼の脳は耐えられるのかい?」

疑念の念を口に出すリョロウに、セイはひょいっと肩をすくめた。

何の気負いもなく、中性的な少年は口を開く。

「さあ?」

「…………………………………」

「人間って言うのは、簡単には死なないものさ。大丈夫、大丈夫」

何の重みもなく放たれたことばに、今度もリョロウは答えられなかった。











レンは真っ黒な空間の中に立っていた。

いや、上下左右何もない空間の中にいたのだから、浮いていたという言い方が正しいかもしれない。

漆黒の宇宙のような、真に何もないような空間。

しかし、何もないと言うことはなかった。

レンの目の前には、ドアがあった。

西洋風の、寂れたドアである。スチールではなく木製で、血色に塗られた塗装が所々剥げて、中身の木目が覗けられる。

鬼の顔をモチーフにしたドアノブだけが驚くほどに

精巧で

緻密で

醜悪で

驚くほどにそのドアにミスマッチだった。

レンはそのドアをノックしようとして思いとどまり、少し考えてドアノブに手を伸ばした。

てっきり鍵でも掛かっているかと思っていたが、般若のような鬼の顔はするりと真横になって、鍵が掛かっていないことを知らせた。

ドアをゆっくりと開ける。

ギキイィィィィー、とホラー映画も真っ青なほどのリアルな効果音とともにドアは開いた。

その向こうにあったのは、レンが今の今まで浮かんでいた《無》の空間ではなかった。

その中は真っ黒い部屋だった。

十メートル四方の、そこそこ広いその部屋にある調度品のカラーリングは全てツヤ消しのマットブラック。

隅に置かれているバカでかいブラックソファ、何も入っていない本棚の色も黒。真っ黒な壁紙に掛けられている額縁に入っているのは、子供が黒のクレヨンで塗りつぶしたような真っ黒な紙が入っていた。

そして、部屋の中で異彩を放っているのが、中央にドデンと置かれている漆黒のグランドピアノ。

そして、この部屋で唯一白い色の鍵盤の前に座る、一
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