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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第7話:過去に向き合うということ
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前とは違うとはどういう意味だ? 俺の認識ではあの時のヤツも
 魔力が封じられたものだったと思うんだが」

ゲオルグの答えに疑問を持ったミュンツァーは眉間にしわを寄せ
自分の記憶を探りながらゲオルグに尋ねる。

「前のは魔力素の高密度結晶体です。今回のは何らかの石みたいなものに
 魔力を封じたものですよ。 似てますけど別物です」

ゲオルグがそう言うと、ミュンツァーとヒルベルトはそれぞれになるほどと
呟きながら何度も頷いていた。
だが、フェイトは2人とは対照的に厳しい表情でうつむきがちにしていた。
そんなフェイトの様子に気がついたゲオルグがその肩を軽くつつくと、
フェイトは肩をビクッと震わせながら、バッとゲオルグのほうへ勢いよく
顔を向けた。

「どうしたの、フェイト?」

「どうしたって?」

「なんか怖い顔してたから、どうしたのかなと思って。
 何かあった?」

「私、そんなに怖い顔してた?」

きょとんとしたフェイトがわずかに首を傾げながら尋ねると、
ゲオルグはこくんと頷いた。

「うん。 眉毛の間にこんなしわが寄ってたよ」

ゲオルグが指で自身の眉間にしわをつくりながらそう言うと
フェイトは口をへの字に曲げて俯いた。

「・・・ゴメン」

「いや、別に謝るようなことじゃないと思うけど・・・」

「そうだな」

声のした方にゲオルグが顔を向けると、腕組みをしたミュンツァーが
フェイトのほうに目を向けていた。

「それよりも俺はお前が中で何を見つけてきたのかに興味があるな。
 そんな表情になる理由がそこにあるんだろう、ハラオウン?」

低く抑えられた声で問われ、フェイトはパッと顔を上げた。
なぜ判ったのか、そんな驚きとともにその両目が見開かれる。
フェイトの様子からその考えを察したミュンツァーは
苦笑しながら小さく肩をすくめた。

「・・・はい」

小さく、そして短く答えたフェイトは椅子に深く腰かけなおすと、
固く組んだ両手をテーブルの上に乗せると、何度か大きく深呼吸する。

「ゲオルグと別れたあと、私は研究区画の奥に進んで研究記録がないか
 探したんです」

フェイトは押し殺した声で話し始めた。
その顔は無表情でその眼にはどこまでも感情が感じられない。

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