暁 〜小説投稿サイト〜
ストライクウィッチーズ1995〜時を越えた出会い〜
第二十一話 オペレーション・マルスA 〜終幕〜
[10/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
吹っ飛ばしちゃいましたよ」



 ガコン、と無骨な響きとともに姿を現したのは、ジェットストライカーを装備し、長大なガトリング砲を抱えた和音の姿だった。それだけではない。バルクホルンのパンツァーファウストにMG42、宮藤の13mm機銃まで借用している。いずれも予備として積んであったものだ。
 その威容たるや、一人で要塞戦でもする気なのかというほどである。

「沖田……お前何をしている!! それにそのユニットは――」
「ええ、ちょっと邪魔な天井を壊して出てきました」

 涼しげな顔でそういうと、和音はさも当然と言ったふうに離陸体勢に入る。

「なにをしている沖田!! お前だって魔法力を消耗しているんだぞ!!」
「そうですね……でも、誰かがやらなければならない。違いますか? バルクホルン大尉」
「………………ッ!!!!」

 事ここに至って、ようやく全員が和音の意図を理解した。
 大和へ向けて再出撃しようとしているのだ、と――

「ダメだよ和音ちゃん!! そんなことしたら、和音ちゃんは――!!」
「そうですわ!! 長機を置いて勝手な行動は許しませんわよ!!」
「お願い和音ちゃん。行かないで!!」

 501では常に一緒だった三人に、和音はフッと笑った。
 そう言ってくれる人がいるからこそ、自分が行くのだと言って。
和音だって自分で分かっていた。足が震えてうまく歩けないことも。声が震えていて恐怖を隠せないことも。今にも泣きだしてしまいそうなほど心細いことも。
 ――同時に、自分だからこそできる役であると言う事も。

「わたしなら、確実に大和へ到達できます。――行かせてください、ミーナ隊長」
「ダメよ……そんなの、ダメよ……!!」

 ミーナにだってわかっていた。たとえどれほど止めても絶対に行ってしまうだろうことは。
 それでもなお出撃の許しを請う和音の不器用さに、ミーナは涙を抑えられなかった。

「大丈夫。死んだりなんてしませんよ。ほんの半年とは言え、501の大エースの皆さんに師事してたんですから」

 何も言えず固まっている501のメンバーにそう言って笑うと、和音は今度こそ発艦の体勢に入る。

「――待って、和音ちゃん!!」
「宮藤さん……?」
「50年後だよ」
「え……?」

 今まで見た事もない強い意志の光を宿す目にたじろぎながら、和音は訊き返した。

「わたし、待ってるから。50年後に和音ちゃんが帰ってくるのを待ってるから。だから、ちゃんと帰ってくるって約束して」
「…………」

 がっしりと肩を掴んで言うのは宮藤だけではなかった。ミーナも、坂本も、リーネもペリーヌもみんながそうだった。

「……長機を置いての無断出撃は重罪でしてよ。50年分の始末書を覚悟な
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ