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ストライクウィッチーズ1995〜時を越えた出会い〜
第二十一話 オペレーション・マルスA 〜終幕〜
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ての兵士の胸を荒らしまわった。
――その時だった。
『まだだ!! まだ終わってなどいない!! わたしが終わらせるものか!!』
戦闘中の全部隊の通信に響いたその声は、天城の甲板で立ち尽くしていた坂本のものだった。
もはや敗北が明確となったその中で、しかし坂本の声には未だ勝利を手繰り寄せようとする強い覚悟と決意が溢れていた。
『わたしが大和に乗り込み――魔法力で魔導ダイナモを再起動させる!!』
「なんだと!?」
「むちゃくちゃだ!! 艦長、ウィッチ隊にこれ以上の出撃は無理です!! 撤退の決断を!!」
「むぅ……幾多の犠牲を乗り越えてここまできておきながら……!!!」
血の滲む拳を握り、杉田はかつてない決断を迫られていた。
「わたしが大和に乗り込み――魔法力で魔導ダイナモを再起動させる!!」
その宣言は、甲板にいたすべての人間を凍りつかせるのに十分な衝撃を持っていた。
「な、なにを言っているの、美緒……?」
「坂本さん、ダメですやめてください!! これ以上飛んだら坂本さんは……!!」
「そうですわ!! お願いですからやめてください少佐!!」
悲壮な決意を胸にユニットへ足を通した坂本は、甲板に立ちはだかるミーナと宮藤、ペリーヌの三人、いやそれだけではない。何としてでも発艦させまいと集まった全員に向けて静かに言った。
「……聞いてくれ、みんな。魔導ダイナモが動かない以上、作戦に勝利することはできない。そうすれば、ロマーニャを奴らに渡してしまう。それだけは絶対に出来ないんだ」
「ダメよ美緒!! 貴方を飛ばすことは許さない。これは命令よ、坂本美緒少佐!!」
分かっているのだ。誰かが再起動させなければ、あらゆる犠牲と努力が水の泡になってしまうことを。
分かっているのだ。それができるのが、もはや魔法力のない――『犠牲になっても痛手の少ない』ウィッチである坂本しかいないと言う事を。
「絶対に、絶対に坂本さんを行かせはしません!!」
「宮藤さんの言う通りよ。諦めなさい、部隊長命令よ!!」
刻一刻と状況が悪化していくことは誰もが分かっていた。
ともすれば身内同士で仲間割れを起こしかねないほどに切迫していたのも無理はなかろう。
――だからこそ。
だからこそ、この場に居た人間の誰もが気がつかなかった。
――沖田和音の姿が、いつの間にか忽然と消えていたと言う事に。
「はぁ、はぁ、はぁ……ここが、空母天城の格納庫……」
全速力で艦内の通路を駆け抜けてきた和音は、肩で息をしながら格納庫の扉を強引に蹴破った。すでに戦闘員以外が退避したそこはもぬけの殻で、運び
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