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ストライクウィッチーズ1995〜時を越えた出会い〜
第二十一話 オペレーション・マルスA 〜終幕〜
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采を上げる天城の乗員らに混じり、杉田もまた勝利を確信していた。
 防空を担う程度の小型ネウロイでは大和の進撃を阻むことなどできはしない。よしんば大型のネウロイを繰り出す事ができたとしても――もはや王手だ。

「敵ネウロイの巣まで残り300!!」
「よし、突っ込ませろ!!」

 ついに迎撃を潜り抜けた大和が艦種を高く持ち上げ、激突をも恐れぬ勢いで突き進んでゆく。そして――


 ――――ガアァァァァァァァァンン!!!!!!!!!


「う、うおおおおお!?」
「し、衝撃波だ……ッ!!」

 海面を揺らすほどの衝撃と轟音が辺りを駆け抜ける。それは大和が巣へと激突した反動と衝撃波だった。遥か遠く離れた位置にいる和音たちですら、互いにしがみついていなければ軽々と吹っ飛ばされていたかもしれない。
艦種を突き立てるように巣へと突貫を果たした大和は、今まさに絶好の攻撃チャンスであった。もはや攻撃を阻む障害は何もなく、その一撃で勝負を決することができる、唯一にして最大の好機。
 その好機を、杉田が逃す筈がなかった。

「今だッ!! 主砲最大仰角!! 撃てェ!!」
「主砲、発射ッ!!」

 杉田の命令が主砲の発射を命じ――




「なん――だと……?」
「なぜだ!? なぜ主砲が発射されない!?」

 永遠にも似た一瞬の静寂。戦闘海域に集った全ての人間が固唾をのんで見守った決着と勝利の瞬間は、しかし重苦しいほどの緊張と静寂の向こうに消えて失せた。
 ――大和は、その鼓動を完全に停止していたのだ。

「ダメです!! 衝突の衝撃で魔導ダイナモが故障!! 主砲が撃てません!!」
「…………ッ!!!! なんてザマだッ!!!!」

 血が滲むほど握った拳を渾身の力で叩きつける杉田。烈火の如きその怒りと悔しさはもはや憤死すら危ぶまれるほどに激烈な物であった。千載一遇の機を得ておきながら、事ここに至って肝心の切り札が使えないなど――

「手段は!? 他に手段はないのか!?」

 憤怒と慚愧の念に顔をゆがませた杉田が副官の肩を掴んで揺さぶる。万が一の失敗も許されぬこの状況下での魔導ダイナモの停止。それは、あってはならぬ「作戦の失敗」を意味するものに他ならない。

「こちらからの遠隔操作を受け付けません……艦長、これでは……っ!!」
「なんという失態……ッ!! なんという失策か……ッ!! 天は我々を見離したとでもいうのかッ!!」

 大粒に涙をこぼして機器を手繰る副官も、ついに認めざるを得なかった。
 もはや、人類は勝利する機会を永遠に失ったのだと――
 後悔、絶望、慚愧、悔恨、悲嘆……胸の中を駆け巡るその感情を何と形容すればいいのか。この思いだけで身を内側から焼き尽くしかねない激情が、海域に集った全
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