第九章 双月の舞踏会
第七話 スレイプニィルの舞踏会
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タンっと扉が閉まる音がホールに響き渡り、それを合図にしたよにホール全体がざわつき始めた。
そんな奇妙な開催の合図で、スレイプニィルの舞踏会は始まった。
さて、スレイプニィルの舞踏会と言うが、士郎にとってまずしなければいけないことがある。
この仮装集団の中から四人の人物を見つけ出すというものだ。
魔法により全くの別人に変わっているため、一件不可能に見える話だが、士郎にとってはそう難しい問題ではなかった。例えどんな姿に変わったとしても、その人物がもつ独特の気配や歩き方、仕草まで完全に別人になるわけではないため、普通の人には分からない微妙な違いを見抜く士郎にとって、その正体を看破することは難しくはない。
その証拠に、士郎は僅かな時間でキュルケ、カトレア、ロングビルを見つけ出していた。
参考に、それぞれが変身した姿は、キュルケはアンリエッタで、ロングビルは士郎が見たことのない金髪の線の細い美女の姿であった。金髪の美女に変身したロングビルは、帽子を深く被っており、また、その顔立ちに何処か見覚えがある気がした士郎が、薄々その正体に気が付きながらも聞いてみると、予想通りその正体はティファニアの母親の姿であった。
見つかったキュルケたちは一瞬驚いた顔を見せた後、みんな嬉しそうに笑い一曲踊ると直ぐに離れていく。どうやら全員が見つかるまでは一緒にいられないとのことだ。
宣言した通り比較的容易に士郎は別人に変身したキュルケたちを見つけたが、その中で最も簡単に見つかったのはカトレアであった。何故ならば、カトレアは変身することなくそのままの姿でパーティーに参加していたからだ。話を聞いてみると、どうやら真実の鏡を使用しても変身できなかったということらしい。
別段ナルシストというわけでもないカトレアが変身出来なかった理由については、士郎は何となく察していた。
多分、と言うか間違いなく『大典太光世』によるものだろう。士郎の忠告通り、カトレアは常に渡された『大典太光世』を所持している。そのため、一級品の守刀である『大典太光世』の力が、『真実の鏡』の魔法の力を寄せ付けなかったのだろう。
とは言え、そのことを説明してしまうと、カトレアにかぎってはないとは思うが、『魔法の鏡』で変身するために『大典太光世』を一時手放すかもしれない可能性があったからだ。士郎はその可能性があることから、残念がるカトレアに事情を説明することが出来なかった。
ここ最近、カトレアと話をすることが多く、触れる機会が多くなったことから、彼女の身体の不調の原因がただの強弱体質ではないようだと分かってきたことからも、なおさら事情を説明することが出来ない。この原因を完全に解明するには、魔術師でない自分では荷が重いと士郎は理解していた。この世界に、凛がいれば別だったのかもしれ
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