第九章 双月の舞踏会
第七話 スレイプニィルの舞踏会
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の様子に軽く首を横に振った士郎は、じろりと部屋にいる全員をじろりと睨みつけた。
「で、誰が言い出したんだこれは」
「言い出したのはわたしよ。せっかくあの有名な『真実の鏡』を使って別人になるんだもの。この機会を使って何か面白いことでも出来ないかなって思ったのよ。どう? 面白そうでしょ」
ベッドの上に座るキュルケが、胸を強調するように身体を前に倒しニヤニヤとした笑みを士郎に向けた。
「お前たちだけはな……全くお前という奴は……で、もし俺が見つけられなかった場合はどうなるんだ?」
「うふふ……もちろん、お・し・お・き」
強調して出来た深い谷間から取り出した杖を左右に振りながら、キュルケがにっこりと笑みを浮かべた。目は笑っていなかったが。
「はぁ……了解。つまり別人に変装したお前たちを見つけ出せばいいんだろ。シエスタとジェシカが舞踏会の準備をしているようだから俺はちょっと手伝いに行ってくるよ」
「ちょ、ちょっとシロウ。いいの? 『真実の鏡』での変装は、変身した理想の人の姿と寸分変わらないのよ。そんな安請け合いして?」
ロングビルが避けた扉を開いた士郎の背中に、ルイズの戸惑った声がかけられる。扉の向こうに身体を半分以上隠したまま、士郎は肩ごしに振り返る。
「ま、何も難しいことじゃないからな。ルイズたちのことは良く見てるし、例えどんな姿になったとしても、直ぐに見つけ出せるさ」
何でもないことのように軽く笑うと、士郎はそのまま扉の向こうに消えていった。
士郎がいなくなった部屋の中で、最初に声を上げたのはロングビルであった。
壁に背中を預けたロングビルが、顔を隠した両手の指の隙間から苦しげな声を上げる。
「くっ……あれが意図したものじゃないから本当に困るんだよ」
真っ赤になった顔を両手で隠したロングビルが、ずるずると背中を壁につけたまま床に腰を下ろす。
「あ〜……もう。あの程度で動揺するなんてわたしもまだまだね」
同じように苦々しい声を上げるキュルケは、赤く染まった顔を両手で隠しながらそのままベッドに向かって倒れる。
「ふふ……本当にシロウさんは困った人ですね。あなたも大変ねルイズ」
赤く頬を染めたカトレアが、隣で身体を細かく震わせるルイズを見下ろす。
ルイズは全身を震わせながら、真っ赤な顔で震える声を漏らした。
「っ……し、シロウの……バカ」
日が地平線と交わる頃、宝物庫から『真実の鏡』が、二階のダンスホールの入口に運び込まれた。『魔法の鏡』の周囲には、人の視線を遮るように黒いカーテンが引かれている。誰がどんな人に変わったか分からなくするためだ。
引かれたカーテンの入口には、シュヴルーズ先生が案内役として立ってい
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