第三十一話 エンジェルダウン
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い。
◇
「アークエンジェルの撃墜命令……」
彼等がエンジェルダウン作戦を聞いたのはラー・カイラムが先に出航してしばらくたった後だった。お膳立てをラー・カイラムとユーレンベックが整え、誘い込んだ先でミネルバが止めを刺す。作戦は単純だが、ある意味尤も効率的といえる。
アスランはその指令を受け、セイバーのコックピットで未だに悩んでいた。討ちたくはない。こんな事になって欲しくなかったから呼びかけていたのに、それなのに――――――
『―――その、アンタはこれからどうするつもりなんだ……いや、ですか?』
シンが通信越しに話しかけてくる。彼もアークエンジェルに辛酸を舐めさせられてきたが、アスランの嘗ての戦友が乗っている事は、誰もが知っていることだ。故に、シンとしてもどう言葉を掛けるべきか悩んでいるんだろう。
「無理に敬語を使わなくてもいいぞ、シン―――その言葉に対してだがな、正直言って……迷ってるよ、討つべきなのかってね」
『迷うくらいなら出撃せずにいるか?一機減るのは辛いが、足手纏いが増えても困るからな』
マーレがそう皮肉気に言ってくる。とはいえ、彼なりのやさしさというやつだろう。討ちたくないなら他人に任せても構わないとそう言っているのだ。
「いや、出撃はする。そんな逃げ方は、正直みっともないからな。それに―――この戦いは、俺自身の手で決めるべきなのかもしれない」
思い出されるのは、昔一度だけキラと真剣に殺しあっていた日の事だ。ニコルを殺された恨みを、キラも自分の友人を殺された恨みを―――その互いの憎悪をぶつけ合い、殺しあったあの時。
今回の戦いとて、同じような理由がないとは言えない。デイルを間接的にとはいえ殺したのはキラだ。
「ともかく、逃げることだけはしない。俺は、俺の意思を貫き通すさ」
『そうか、だったらその意思を大事にしろよ。俺は意思がはっきりしない奴は嫌いだからな』
『それってアスランにも当て嵌まるんじゃないですか?』
シンが思わずといった風に突っ込みを入れてしまう。事実、アスランは所属を変えたり、こうやって悩んだりと、シンは彼なりに尊敬しているものの、マーレの言ったことに対してはアスランはマーレの嫌いなタイプに含まれるのではないかと思える。
『あ?何言ってるんだ?俺はコイツの事は嫌いだぞ』
「フフッ、そうだな。俺はマーレに嫌われているぞ」
『え?でも―――えっ!?』
マーレが犬歯を剥き出しにしながら嗤い、アスランも思わず苦笑を零す。その様子はシンからしてみたらどう見ても仲が悪いようには見えず、アスランとマーレが二人して自分をからかっているのではないかと疑ってしまうほどだ。
実際、アスランとマーレはアスランがミネルバに着任した時に
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