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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
英雄達の戦歌
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ら力が抜けた。
「ぐっ!…………ハァアアアアァァァッッッ!!!」
力任せに、カグラは長大な炎の塊となっている冬桜を薙ぎ払った。
空気が焼け焦げるのを通り越して消滅させながら、大太刀はウィルの身体を真っ二つにしようと迫る。
しかし、ウィルはあっさりと翅を震わせてバックステップでかわした。
舌打ちとともに、カグラは返す刀で切り裂こうとしたが、すでにウィルは心意技《煉王聖火》の射程圏外まで待避してしまっていた。
白衣
(
びゃくえ
)
が、鮮血に染まっていくのを感じた。
左腕に血に浸った白衣がべっとりと張り付いて気持ちが悪い。
「なぜ……、なぜあなたが《多刀流》を体得しているのですか?あれは、【風魔忍軍】メンバー、それも長が認めた者にしか伝えられないもののはず………」
「よく知ってるッスねー。それこそ機密事項なのに。スパイでもして潜り込んでたんスか?」
ヘラヘラと笑いながら、それでもウィルの構えに隙は欠片も見当たらない。
眼光はいよいよ鋭くなり、軽い言葉との大きすぎるギャップに、こちらが目を回しそうだ。
「………知っていただけです。もしよければ、返答願いますか?【神聖爵連盟】に所属するあなたがなぜ、機密至上主義の【風魔忍軍】の最上級の機密を体得しているのかを」
「…………いいッスね。バカ正直なヒトは好きッスよ?」
そう言い、ウィルヘイムは笑う。どこか、自嘲めいた笑みで。
「話は簡単ッスよ。俺は【風魔忍軍】創設以来の裏切り者なんスよ」
「裏切り者?」
問い返したカグラに、《夕闇の化神》と呼ばれるスプリガンはくすんだ金髪を縦に振った。
「イエス。俺は【風魔忍軍】サブリーダー………だったッス。シゲさんの後継者だーとか言われてたんスけど、ほら、あそこって異常にメンバーを縛るんスよね。俺は自由気ままっつーか、要は縛られたくなかったんスよ。だから平和的に脱退しようとしたら、今度はこの技術を会得している者を出させる訳にはいかんって…………無茶苦茶ッスよねぇ〜?」
ウィルは饒舌に喋り、そして思わずといった感じで苦笑した。
それにはカグラも同様の表情しか取れない。彼の言ったことは嘘ではなく、ほとんど真実だろう。
大規模なギルドには彼の言う通り、確かにそういう部分が少なからずある。その中でも、【風魔忍軍】はその特色がかなり強いと言わざるを得ない。
と言うか、【風魔忍軍】がそうせざるをえないほどに、《多刀流》は絶大な力を発揮するのだ。
その技術を天才的に習得した者が、じゃあ辞めますと言ってすんなりと放してくれるはずがない。
「それで……逃げたのですか?」
「逃げたッスよ。付き合ってられないス、あんなマッドカルトども。あいつらが大人しいのは表面上だ
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