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東方攻勢録
第八話
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夫でしたか?」


俊司は向日葵畑から出てくるなりそう言った。


「ええ。こちらこそ迷惑かけたわね」

「いえいえ。ちょっと待っててください。すぐに外しますんで」


俊司はポケットからスペルカードを一枚取り出すと、何も言わずに発動させた。 


変換『魔術師の拳銃』


「何をするんですか?」

「手錠を外すだけですよ。それっ」


俊司は地面に銃口を向けると、そのまま引き金をひいた。

弾丸が着弾すると同時に、青白い光があふれ始める。何も言わずにまじまじと見ていた幽香だったが、その瞬間何かが体内に戻ってくるような感覚とともに、右手の違和感が静かに消えていった。


「……外れてる」


さっきまで外れる気配のなかった手錠は、その光を失いその場に落ちていた。


「魔法で鍵を外しました。気分はどうですか?」

「ええ。何の問題もないわ」


顔色もすっかりよくなった幽香は、軽く微笑みを返したあと日傘を差した。


「じゃあ、仕上げはこっちかな」


幽香が元に戻ったのを確認すると、もう片方の銃を地面に向けて再び発砲した。

着弾とともに今度は緑色の光が浮かび上がる。すると、周辺にあった枯れた花は土に返り、新しい向日葵が何十本も咲き始めた。


「あなた……」

「まあ、魔法の弾は二回使えるんで。どうせならって思いまして」


そう言って俊司は笑った。


「……この子達もうれしそう……ありがとう」

「いえいえ。それにしても……また変なのがでてきましたね」


俊司はそばに落ちてあった手錠を拾い上げると、まじまじと見つめながら何かを確かめていた。


「どうしたんですか?」

「いや、念のため発信機とかついてるか調べてるんですけど……大丈夫そうですね」

「まるで何かを封印するような手錠ね。私の力もこいつに吸収されたというよりかは、封印されたに近いのかしら?」

「どうでしょうかね。とりあえず、これも革命軍の能力者のものと考えるのが妥当だと考えれますが……」

「これはまたやっかいだねぇ。これ以外にもなにかあるんじゃないかい?例えば能力を封印するとかさ」


小町の言うことも一理あった。力を封印するだけでなく、能力や弾幕を封印できてもおかしくはない。革命軍もそれなりの対応を始めているのだろう。

となると、革命軍の行動の幅もさらに大きくなる。どれだけ力が強くかろうが、この手錠さえあれば弱い兵士であっても戦えるようにはなるはず。俊司達にとってはかなり不利な状況になり始めていた。


「早急に手を打つ必要性がありますね」

「そうですね……あとは……」


俊司はそう言って、近くで横になっ
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