星屑の覚醒
1 出会い
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歴史的異常気象で、衣替えも忘れた10月の上旬、僕は幾つかの出会いを果たした―
***
光彩斗はゆっくりと体を起こした。
眠気眼に飛び込んできたのは、いつもの自分の部屋。
シンプルな白の壁紙に冷蔵庫にガラス製の机。
机の上には鉛筆立てとパソコンが3台乗っている。
Pavilion HPEとTouchSmart、TouchSmart Sleekbookだ。
ベッドから降りると、隣のベッドが目に入る。
同居人はとっくに起きて、朝の日課を始めていた。
そそくさと顔を洗い、寝間着を脱いで、身体中のアザや傷を庇いながら、学生服のズボンとワイシャツとネクタイを身に纏った。
部屋を出て、いつものように廊下を歩いて大型のエレベーターで1階まで降りて食堂に向かった。
「おはよう」
「おはようございます」
多くの子供たちが朝食を食べている中、一人の少女に話し掛け、いつもの席に座る。
緑色のメッシュの混じったポニーテールの可愛らしい少女『メリー』。
彼女こそが彩斗の部屋の同居人だった。
もう既に朝食の殆どを食べ終えていた。
「いつも遅くてゴメンね。急いで食べるから」
「いえいえ、食べ終わるまでご一緒しますから」
謝る彩斗にメリーはいつものように笑顔で笑いかける。
彩斗は用意されていたトーストにサラダ、スクランブルエッグに不気味な色のジュースをゆっくり、しかし確実に平らげた。
彩斗はこの孤児院の朝食で最後まで残っている、他の孤児たちからは「食堂の番人」と呼ばれるほどに食事のペースも遅く、起きてくる時間も遅かった。
最後に水を飲み、一度部屋へと戻る。
「じゃあ、メリー。トランサーに」
「はい」
彩斗は机の上のコンセントで充電していたトランサーをメリーに向けた。
するとメリーの体が発光し始めた。
緑色の光だ。
そして僅か数秒でメリーはプログラムのコードへと変換され、彩斗の部屋から姿を消した。
だがメリーの姿は彩斗のトランサーの画面に映っていた。
いつものワイシャツにスカートと言った人間の少女さながらの外見のまま、彩斗のトランサーへと収容された。
メリーはネットナビだった。
現実空間と電脳空間を自由に行き来でき、現実空間は普通の人間としての体を持ち、電脳空間ではデータ化された体を持つ特殊な存在。
高度な情報化が進み、電波を実体化出来る『マテリアライズ』などという技術が存在する現代でさえも説明の難しい話だった。
そしてそれがトランサーや『スターキャリアー』などの電波端末が使わずに出来るということも。
「じゃあ行こうか」
「....本当に行くんですか?毎日、毎日....あんなに殴られて蹴られて...みんなに陰口を叩かれても...」
彩斗がバッグを持ち、語り掛けた段階でメリーは心配そ
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