転入生二人
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りも、もはや化学兵器だろ!!
おいてあった牛乳を引っつかむと、口の中にあるサンドウィッチ?を胃に流しこみ、響は大きく息を吐く。
そして未だに響の状態に気付いていないセシリアに一言告げた。
「あのなセシリア……作ってくれたのにすっげぇ心苦しいんだけどさ。はっきり言うぞ?」
「はい!」
「まずい」
キッパリと言い切られたセシリアは固まる。
だがすぐに我を取り戻すと理由を聞いた。
「あの……具体的にどのようなところが?」
「えっとな……とにかく甘すぎる。BLTサンドではないことは確かだ」
頷きながら言う響にセシリアは、衝撃を受けたように大きく後ろにのけぞった。響はそんな様子のセシリアを見て微笑むと告げる。
「けど……一生懸命作ったってのはわかったよ」
響は言うと持っていたBLTサンドを一気に口に押し込み飲み込んだ。
「響さん!?」
まずいといった料理をわざわざ食べた響に、セシリアは驚愕の声を上げる。目には若干涙も溜まっていた。
その様子を見た響は苦笑すると、語り始めた。
「昔もこんなことがあってな、私の妹もお前と同じですっげー料理が下手でさ。毎回毎回失敗ばっかでなー。だから聞いてみたんだ、何で失敗すんのに作ってんだ?ってさ。そしたら妹のヤツなんていったと思う?」
「なんとおっしゃったのですか?」
「姉さんのためにうまくなりたい、って言ったんだアイツ。思わず涙が出そうになっちまったよ、それ以来私は妹が作ってくれたものは全部食べた。苦かろうが、甘かろうが、辛かろうがな、だけどだんだん料理の腕前が上がってきてさ。今じゃプロ並だぜ? だからお前も気にすんな、努力すりゃあうまく作れるようになるさ。それまでは私が喰い続けてやる」
言い終えると、響はニカッと笑いセシリアの頭を撫でる。セシリアもそれに満面の笑みで答える。
「はい! ありがとうございます響さん! ではわたくし、これから料理の本を図書室に探しに行って来ますわ!」
セシリアは言うが早いか、そのまま校舎の中に消えていった。それを見送った響は大きく溜息をつくと空を仰ぐ。
「まったく……なんであんなこといったかなー。けど、アイツの成長が見れると思えばいっか。……でもアイツの料理がうまくなるまで私の胃が持つかどうかだな……」
若干顔を引きつらせながらも、響は楽しそうだった。
「さて、午後の授業が始まる前に一眠りするかー」
響は目を閉じ、意識を手放した。
響はチャイムの音で目を覚ました。
「んぁ? 予鈴か、やれやれよく寝た……」
そこまで言ったところで響が固まった。なんと時計を見ると既に一日の授業の終了時刻ではないか。
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